自殺直前に出会った2人が結婚へ
英紙サンなどによると、ロシア中西部ウファに住む26歳のアンドレイ・イヴァノフさんは、幸せの絶頂が一転、
突然の不幸に襲われた。最愛の婚約者との結婚式を翌日に控えたある日、彼女が自動車事故に遭い、この
世を去ってしまったのだ。
予想だにしなかった出来事に茫然自失となったイヴァノフさんは、彼女のいない世界を受け入れられず自殺を
決意。街を流れる、氷に閉ざされたベラヤ川に身を投げようと、失意のまま橋へと向かった。
そして残すは飛び降りるのみとなったとき、彼の目に入ってきたのは1人の女性の姿。見ればまだ若いその女性は、
まさに橋の欄干を乗り越えようとしており、イヴァノフさんの目の前で自殺しようとしていた。
自殺のためにやってきた橋で、他人が自殺する現場を目撃するという皮肉な事態に陥ったイヴァノフさん。その
ときの気持ちについて、「心の中で何かが鳴った。そして、どんなに僕が失意にあったとしても、彼女を自殺させ
てはいけない」と思ったそうだ。彼は、飛びこもうとする女性に「ストップ!」と叫び、慌てて彼女の元へ駆け寄った。
先に飛び降りようとしたこの女性は21歳のマリア・ペトロヴァさん。赤ちゃんを身ごもっていた彼女は、話を知った
両親に激怒され、勘当されてしまったそう。行くあてもなく絶望を感じ、イヴァノフさんよりわずかに早く橋に到着。
そして、自殺しようとしたところを運よく彼に発見され、自殺を踏みとどまった。ペトロヴァさんは、欄干を降りると駆け
寄ってきたイヴァノフさんの腕の中に飛び込み、安心したかのように号泣したという。
元は深い傷を負った者同士、結局自殺に至らなかった2人はその日、夜遅くまで前向きな話を重ねた。「お互いの
傷を癒しあおう」と約束した2人は、そのまま恋人の関係に発展。お互いの家族に経緯を話した後、結婚する予定
だという。
悲しみの現場となるはずだった場所で見つけた運命の出会いに、イヴァノフさんは「私と彼女の命が救われた夜
だった」と、今は幸せいっぱいの様子。一方のペトロヴァさんも「アンドレイに引き合わせてくれたんだから、心の
傷も無駄じゃなかった」と語り、ともに明るい未来を見据えられているようだ。
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