【速報】新規制システム Viva Samba カーニバルが突破される

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1 ベラ(長屋)

【news】ニュース速報運用情報561【ν】
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/operate/1272991801/869

869 名前: ◆aLICeotiAI [] 投稿日:2010/05/05(水) 11:20:02 ID:F4iPyRJx0
Viva Samba カーニバル突破したwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2 ムブナ(埼玉県):2010/05/05(水) 11:23:25.34 ID:95TKVHC4
つまりどういう(
3 アオメエソ(長屋):2010/05/05(水) 11:23:27.29 ID:qAtnefk3
奇跡のカーニバル
4 メイタガレイ(愛知県):2010/05/05(水) 11:23:27.15 ID:jcdIm8Do
これはオワタ
5 フエフキダイ(愛知県):2010/05/05(水) 11:23:27.46 ID:vSh2Na2p
マジかよ糞箱
6 サツキマス(石川県):2010/05/05(水) 11:23:44.58 ID:vfR6xPM6
                /八
             jレ^Y   `ト、
            }Y        ヽ
           ノ |:!        ヽ    今年こそスクライドのReckless Fireを最速で催促して流させような?
           |! |.i          lィ
         __ {  | \r、     川 |
         └う  \_」 `ヾ、  _   /          _/´}
_ _._       rr─) 凡}\ =-、`くヽ-レ′        _ノ :ノ
─‐ ─ =-ノ \ ⌒Lリ\)>‐┴ーX_マ          ノ  く`L_
─ー-=ニ二_  \ |   \___/7L斗ヽ         rゥ'´ r‐-、 | }
─ゥ‐- .__ ̄  \ 、   、_/ /         | | -、)⌒l. { ト、    __
/     |   ̄ ̄ヽ \`ー- ,ィく__      _ノ〈tn__つ } | | 〉-‐__¨_
      ヽ        \> / `    ̄`ー-厂  ,ィミ|   仁j {/下「 |「
       ヽ         ̄厂: ::. . .     〈  /三,′   |ミト′ Lj. |l_l
 |        \      /,}乃─-、_____)、/二/      |ミ|====
 !     __  \_  / ||    ヽ`ー─-┴‐く`)     |ミ|  「 ̄
     ___ ̄   |_  └==='′       ハ     |ミ|  └--
       _二ニ=-、_ ̄二冖─--= ___     |  /ミ/─--、、
            |0! ̄丁 ̄ ̄丁`` ─--__ニ二|  /三/ ̄>、、
       冖--─/ィ′ |     |        |二ミ|ヾ| /三/
  ̄二         | 「::::::::::ii::::::::::::::ii:::::::::::::::::::::|二ミ| | /ミ/
7 アオメエソ(関西地方):2010/05/05(水) 11:23:47.97 ID:pVKEZhln
ここか
8 アオメエソ(長屋):2010/05/05(水) 11:24:07.63 ID:1re/vMMd
は?
9 シュモクザメ(アラビア):2010/05/05(水) 11:24:10.66 ID:O6htsai9
   / ̄\
  .|    |    このスレはスレタイ関係なく
 /\_+_/\  アニソン三昧実況スレの予定です。
 |_l   |   l_|  ご利用の皆様には大変ご迷惑を
 ヽ.|=ロ=|/   おかけしております。
   .|  |  |
   .|_|_|
   (_|_)         (株)ν速建設
10 アオメエソ(dion軍):2010/05/05(水) 11:24:18.57 ID:A66RqoOz
どういうことだってばよ
11 アオメエソ(関西地方):2010/05/05(水) 11:24:27.51 ID:+SDnQWkS
aKOだよなこれ
12 ブラウントラウト(dion軍):2010/05/05(水) 11:24:35.66 ID:GpzJ87ZW
くわしく
13 シノノメサカタザメ(アラバマ州):2010/05/05(水) 11:24:40.23 ID:b08LVABj
まずそのViva Samba カーニバルとやらから説明しろよ
14 アオメエソ(東京都):2010/05/05(水) 11:24:56.43 ID:fbi1ytPY
どうせ口だけだろww
15 ボラ(栃木県):2010/05/05(水) 11:24:58.84 ID:Zml8Ov8d BE:199699283-PLT(14568)

なにそれ
16 ヒメ(西日本):2010/05/05(水) 11:25:04.05 ID:YFe5LkjG
やべぇよやべぇよ・・・
17 アケボノチョウチョウウオ(長屋):2010/05/05(水) 11:25:13.03 ID:txUmX6jX
スクリプト潰し?
18 サッパ(長屋):2010/05/05(水) 11:25:18.03 ID:R3G16bTB BE:115841063-PLT(12345)

スクリプトがひとつの●でできるようになるって事?
19 オナガザメ(岩手県):2010/05/05(水) 11:25:24.10 ID:tqDUfXrI
●を使ったスクリプト連投による規制を回避する事が可能になった


規制人より芋掘り放棄中 ∩( ・ω・)∩芋116本目
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/sec2chd/1269695660/

254 :ちきちーた ★ :sage :2010/03/29(月) 17:18:42 ID:???0

久しぶりに仕様変更しようかなぁと
考えているー >>250

串のとっかえひっかえは駄目ニダ 
を追加しようかなぁと
簡単に言えばsamba改だな
●でもIP変ったらちょっとまってね表示
でスピードをそぐ作戦
10分とかさ

326 ちきちーた ★ sage New! 2010/03/29(月) 18:25:14 ID:???0
金でテストしてみてー

携帯やらなにやらは
その後するー設定にする予定
現在2分

●ログイン状態でIPを変更すると Viva !!

自演が出来なくなってしまった・・・・
20 アオメエソ(東京都):2010/05/05(水) 11:25:30.07 ID:sjZL2e3M
21 ムツゴロウ(和歌山県):2010/05/05(水) 11:25:34.02 ID:K2eLs2Gz
>>13
スクリプト一応対策してたけど、その対策も余裕でクリアでした^^
これで120%の力が出せます^^

ってことだろ
22 ツチフキ(群馬県):2010/05/05(水) 11:25:38.28 ID:WlMWfaTU
戦争だ!!
これは戦争だ!!
23 オオタナゴ(栃木県):2010/05/05(水) 11:25:41.97 ID:TPFdEReH
つまり荒らすぜこのやろうってことだろ
24 アオメエソ(千葉県):2010/05/05(水) 11:25:50.92 ID:wtCquoB1
よくわからん
25 アオメエソ(福岡県):2010/05/05(水) 11:25:52.06 ID:eCaOTqYM
                奇蹟のカーニバル


                開     幕     だ
               n:       ___      n:
               ||    / __ \    .||
               ||    | |(゚)  (゚)| |    ||
              f「| |^ト    ヽ  ̄ ̄ ̄ /   「| |^|`|
              |: ::  ! }      ̄□ ̄     | !  : ::}
26 アオメエソ(埼玉県):2010/05/05(水) 11:27:01.55 ID:GjE3QosA
アニメ・アニソン・ゲハスレならどんどん埋めていいよ
27 カイヤン(アラバマ州):2010/05/05(水) 11:27:09.28 ID:1IfArffD
>>21
つまり荒らしが加速するってわけか
28 キタマクラ(関東・甲信越):2010/05/05(水) 11:27:23.02 ID:F1YiyJ/U
キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!

あれがデネブアルタイルベガ!
29九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:24.91 ID:7vIhLjSS
 前世とか?――いやいや…
30九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:24.91 ID:7vIhLjSS
 図書館は、休日になると一般の人たちに開放されるため、来館者の数は多い。
31九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:24.94 ID:7vIhLjSS
 明日の朝には、この悪夢も終わっているんだろうか。
32九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:24.98 ID:7vIhLjSS
 あと数日で彼女に会えるはず、それまでの我慢だ。
33九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:24.98 ID:7vIhLjSS
 もう、花梨の手をわずらわせることはなかった。
34九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:24.98 ID:7vIhLjSS
「守って…?」
35九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:25.01 ID:7vIhLjSS
 小さな体の中で、いつも頭をフル回転させ、大切な妹を守ろうとしている。
36九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:25.00 ID:7vIhLjSS
 なんだろう、あれ。
37九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:25.03 ID:7vIhLjSS
「ねーねーっ、そんなんどうでもいいからスイカ割りー」
38九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:25.23 ID:7vIhLjSS
「そうそう、自己紹介の間くらい静かにしてもらわないと」
39九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:25.52 ID:7vIhLjSS
「少しは、元気になってくれたかな」
40九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:25.52 ID:7vIhLjSS
「庄一には、花梨ちゃんに、ちゃんと教えるように言っておく」
41九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:26.01 ID:7vIhLjSS
「ホント! じゃあ〜」
42九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:25.64 ID:7vIhLjSS
 縁側に下げられた風鈴の音に、寒気を感じた僕は、少し体をのけぞらせた。
43九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:26.65 ID:7vIhLjSS
 和泉ちゃんは、おろおろと、落ちつきなく首を動かした。
44九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.65 ID:7vIhLjSS
 いくら軽いって言っても、女の子を抱きかかえたまま、坂を上るのは辛い。
45九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.48 ID:7vIhLjSS
「暑いですね」
46九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.65 ID:7vIhLjSS
「また、うなされていましたね」
47九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.94 ID:7vIhLjSS
「うん。でも、その前に言わなきゃ」
48九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.73 ID:7vIhLjSS
「今日は、おしまい」
49九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.91 ID:7vIhLjSS
「冷たいって」
50九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.72 ID:7vIhLjSS
「あ、ごめんなさい、ちょっとぼーっとしちゃって」
51九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.97 ID:7vIhLjSS
 一歩間違えば、失禁くらいしていたかもしれない。
52九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.98 ID:7vIhLjSS
「ぁ…ああ、ホントに?」
53九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.06 ID:7vIhLjSS
 じゃあ…
54九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.09 ID:7vIhLjSS
「その、もうひとつの波紋は?」
55九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.45 ID:7vIhLjSS
 だけど、素敵な時っていうのは、長く続かないものらしい。
56九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:27.98 ID:7vIhLjSS
「だからその、ごめん」
57九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.45 ID:7vIhLjSS
 和泉ちゃんがいなくなって、自分の無力さが悔しくて、やるせなくて…
58九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.30 ID:7vIhLjSS
 和泉ちゃんがさし出した、色とりどりの短冊を前にして、マリアちゃんは目を輝かせた。
59九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.59 ID:7vIhLjSS
「…どうして、そんなことを言ったのか、覚えていないんだ」
60九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.60 ID:7vIhLjSS
 どんなに時が流れても、遠く離れてしまうことがあっても、
61九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.80 ID:7vIhLjSS
「本気だよ」
62九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.83 ID:7vIhLjSS
 と、彼女は背中にはりつこうとして、思いとどまった。
63九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:28.93 ID:7vIhLjSS
 ものすごく不満そうな顔で言われた。
64 コバンザメ(京都府):2010/05/05(水) 11:27:29.35 ID:u5MX5uNl
きたこれ
65九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:29.35 ID:7vIhLjSS
「それより、気になるのはこっちだよ」
66九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:29.69 ID:7vIhLjSS
「私が走ってきちゃいましたから。でも、そろそろ来ると思いますよ。ほら…」
67九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:29.52 ID:7vIhLjSS
 男にウインクなんかさせるもんじゃないな――すっかり毒気を抜かれてしまう。
68九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:29.67 ID:7vIhLjSS
 願いを叶える、涙石――
69九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:29.74 ID:7vIhLjSS
「人が悪いなぁ、和泉ちゃんも」
70九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:29.78 ID:7vIhLjSS
「わかってる。それにしても、この辺はあまり人通りがないみたいだけど」
71九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:29.90 ID:7vIhLjSS
「お二人は、いつも仲がよろしいんですのね。うらやましいですわ」
72九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.25 ID:7vIhLjSS
「いいから! なんのために来たのよ」
73九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.43 ID:7vIhLjSS
 雪さんがぼやく。
74九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.59 ID:7vIhLjSS
 目の前にあるものを現実として受け入れるしかないだろう。
75九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.72 ID:7vIhLjSS
「そんな顔をされないで下さい。透矢さんのお父様は素敵な方なんですよ」
76九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.73 ID:7vIhLjSS
「漠然とだけどね。私は、あの子の気持ち知ってたし、それでわかっちゃったというか…」
77九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.70 ID:7vIhLjSS
「嘘。そういう意味じゃないってわかってる」
78九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.84 ID:7vIhLjSS
「牧野さんまで、体調を崩したんだ…」
79九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.84 ID:7vIhLjSS
 僕はしばらく彼女を抱きしめたまま、軽く叩くように背中を撫で、ただ、時がすぎるのを待った。
80九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:30.99 ID:7vIhLjSS
「うん。花梨も?」
81九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.13 ID:7vIhLjSS
 はっはっ、と和泉ちゃんが息を荒げる。
82九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.12 ID:7vIhLjSS
「……夕陽をバックにキスとか」
83九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.17 ID:7vIhLjSS
「和泉ちゃんがいなくなったら、僕たちが困るよ」
84九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.22 ID:7vIhLjSS
 いちいち気にしてたらキリがない。
85九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.20 ID:7vIhLjSS
「…い」
86九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.18 ID:7vIhLjSS
「大丈夫です。おうちに戻ってから休みますよ。ご心配なさらずに」
87九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.20 ID:7vIhLjSS
「いや、入院してて話が聞ける状態じゃないから」
88九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.34 ID:7vIhLjSS
「ふーん…けっこう、人が集まるんだね」
89九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.32 ID:7vIhLjSS
「とにかくそういうことだよ。それでは」
90九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.26 ID:7vIhLjSS
「みんな反対なのに、開発は続いているんだね…」
91九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.30 ID:7vIhLjSS
 考えちゃいけないはずの言葉が、僕の頭の中を支配していた。
92九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.39 ID:7vIhLjSS
「そういえば…」
93九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.58 ID:7vIhLjSS
 見た目にはおとなしい波も、泳ぐとなると、ずいぶん大きな障害になる。
94九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.57 ID:7vIhLjSS
 様子が、おかしいような気がした。
95九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.74 ID:7vIhLjSS
 大きなしぶきをあげて、海に飛び込む和泉ちゃん。
96九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.67 ID:7vIhLjSS
「んっ…んぅ…」
97九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.05 ID:7vIhLjSS
「和泉ちゃん、俺がきれいだって言ってもそんな反応してくれたことないのに…」
98九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.19 ID:7vIhLjSS
「あの二人だからね。まさにケンカするほど仲がいいってやつかな…」
99九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.37 ID:7vIhLjSS
「いけません…うつってしまいます」
100九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.35 ID:7vIhLjSS
「僕が出るからいいよ」
101九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.34 ID:7vIhLjSS
「おおざっぱにだけど…」
102九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.50 ID:7vIhLjSS
 知らないんだから!――と、そっぽを向かれてしまった。
103九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.52 ID:7vIhLjSS
 なかなかシャレにならない痛さだ…。
104九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.52 ID:7vIhLjSS
「また夜更かししてるね」
105九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.64 ID:7vIhLjSS
「これか?」
106九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.65 ID:7vIhLjSS
(だけど、なぁ…)
107九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:31.74 ID:7vIhLjSS
「布団の上では素直なんだから」
108九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.84 ID:7vIhLjSS
 押し付けるようにして、指を上下させると、細いすじの存在を確認することができた。
109九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.84 ID:7vIhLjSS
 やっぱり、女の子ってよくわからない。
110九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.99 ID:7vIhLjSS
 男女合わせて三十人くらいはいる。
111九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:32.99 ID:7vIhLjSS
 くいくい。
112九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.02 ID:7vIhLjSS
「和泉ちゃん…っ」
113九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.01 ID:7vIhLjSS
 女の子のスカートに手をかけるのって、それだけで緊張する。
114九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.00 ID:7vIhLjSS
 案内は、後で雪さんにしてもらおう。
115九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.17 ID:7vIhLjSS
「だっ、て…ゆび…っひ…指でなんて…」
116九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.18 ID:7vIhLjSS
「それでしたら、一緒に寝てください」
117九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.20 ID:7vIhLjSS
 彼女の期待を裏切るそのひとことが、どうしても言えなかった。
118九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.25 ID:7vIhLjSS
「いや、僕こそ興味本位なんかで…ごめんね」
119九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.25 ID:7vIhLjSS
「駄目だよ、なんか嫌な予感がするんだ」
120九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.18 ID:7vIhLjSS
「ぁ…はい。はい…」
121九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.31 ID:7vIhLjSS
「ああ、もうそんなになるか…」
122九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.31 ID:7vIhLjSS
「道場主?」
123九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.38 ID:7vIhLjSS
「はやや?」
124九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.51 ID:7vIhLjSS
 いっぺんに力が抜けていく。
125九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.44 ID:7vIhLjSS
 そういえば、小さな頃は、体が弱かったと言っていたっけ。
126九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.54 ID:7vIhLjSS
 まず僕の目の前におしりだ。
127九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.54 ID:7vIhLjSS
「アリス、ふたりが起きちゃうよ?」
128九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.68 ID:7vIhLjSS
「はぁ。先住民だと何か都合が悪いの?」
129九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.68 ID:7vIhLjSS
“ゴツッ、ゴツッ、ゴツッ”
130九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.68 ID:7vIhLjSS
「どうして言えないんですか?」
131九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.64 ID:7vIhLjSS
「っ…ごめん…朝から、みっともないところばっかりで…」
132九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.68 ID:7vIhLjSS
「そうですね。お父様が、あまり好きではないんですよ。雪も苦手ですし」
133九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.68 ID:7vIhLjSS
 言いながら、僕のものを受け入れようともぞもぞ動くアリス。
134九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.77 ID:7vIhLjSS
「うん…これで、安心できるんなら、いいよ」
135九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.87 ID:7vIhLjSS
 僕はもういちど、彼女のお尻の穴を押し開き、もう一本を追加した。
136九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.54 ID:7vIhLjSS
「ねっ、とにかくそういうわけだから。花梨ママの胸をどうにかしたいなら、それでもいいし」
137九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.87 ID:7vIhLjSS
「意地っぱりですね。もしここを曲がった先にあの子がいたりしたら、きっと後悔しますよ」
138九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.87 ID:7vIhLjSS
 この子は、それでいい。
139九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.88 ID:7vIhLjSS
「アリスがこういう事に首を突っ込みたがるのって、めずらしいような気がするんだけど」
140九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.88 ID:7vIhLjSS
 日が差さないことに加えて、何かに見られているような感覚がつきまとう。
141九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.88 ID:7vIhLjSS
「本を読んでいましたから」
142九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.05 ID:7vIhLjSS
「北極星なんでしょう?」
143九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.98 ID:7vIhLjSS
 でも、泣き出しそうな顔の彼女を見ていると、あまり無下にもできない。
144九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.89 ID:7vIhLjSS
 だいたい、ここで自分から謝らなければきっと、その機会すら与えてもらえなくなる。
145九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.89 ID:7vIhLjSS
 満天の星空って、こういう空のことを言うんだろう。
146九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:33.34 ID:7vIhLjSS
「報告してもらおうと思って。透矢の手放した、ゆきに…幸せでやってるから安心してね、って」
147九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
 どことなく感情のこもっていない声だった。
148九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.13 ID:7vIhLjSS
 気がつけば僕の日常には――
149九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
 部外者が口出しできるような事じゃないんだろうな、きっと。
150九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
 とにかく、日よけも兼ねて民家を見て回る事にした。
151九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.12 ID:7vIhLjSS
「私、途中からキミのこと見てたけど、誰もいなかったよ」
152九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
「わかった。もうしないから、そんな顔しないで?」
153九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
「勇気を出して良かった。最後に大切なことを思い出してもらえたから」
154九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
「瀬能、透矢」
155九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
「もし、ひっぱたいて気が済むなら、ひっぱたいてくれていいよ…」
156九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
「おねえちゃん、そういうことは…」
157九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
 そして、予想通り牧野さんも同じ夢を見ていた。
158九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
 そして、どうかしている僕は、そこに口をつけた。
159九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.11 ID:7vIhLjSS
「そうですか。残念だなぁ」
160九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.12 ID:7vIhLjSS
「ありえないよ、やっぱり」
161九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.19 ID:7vIhLjSS
「それを可能にするのが、この指輪なの。これは、確かに現実よ」
162九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.13 ID:7vIhLjSS
「ふふ…初めて試しましたけど、よく効くおまじないですね」
163九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.49 ID:7vIhLjSS
 雪…あの日、手放した風船。
164九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.49 ID:7vIhLjSS
「今は…でも、いつか…」
165九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.52 ID:7vIhLjSS
「現金や通帳のたぐいは、雪が持ち歩くようにしていたんです」
166九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.52 ID:7vIhLjSS
 空腹を感じ、花梨が消えた坂を見上げたままの自分に気づいた僕は、早く家路につこうと振り返った。
167九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.52 ID:7vIhLjSS
「野郎の面倒見るのはごめんでーす」
168九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.53 ID:7vIhLjSS
「本当ですか? それでしたら、すぐに他の記憶も戻るかもしれませんね」
169九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
「ば、馬鹿…」
170九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.53 ID:7vIhLjSS
「だって、せっかく二人で外に出たのに、牧野さん、ずっと本を読んでるから」
171九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.54 ID:7vIhLjSS
 なんだか身もふたもない鈴蘭ちゃんの言葉に、だけど雪さんは笑顔でうなずいた。
172九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.54 ID:7vIhLjSS
 彼女はスタイルがいいから、そういうことをされると目のやり場に困ってしまう。
173九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.54 ID:7vIhLjSS
 だいたい、ここで自分から謝らなければきっと、その機会すら与えてもらえなくなる。
174九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
「大丈夫ですよ。ただ、ちょっと、ぼうっとしてしまって」
175九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
「マリアちゃん、打っていいよ」
176九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
「嫉妬ぉ?」
177九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
「悲しい? どうして?」
178九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
 目を閉じれば闇。
179九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
「じゃあ、そのせいだね、きっと」
180九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.53 ID:7vIhLjSS
 けど…なんて名前だっけ?
181九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.59 ID:7vIhLjSS
「寝ぼけていますの?」
182九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.53 ID:7vIhLjSS
「僕に当てはまることは、花梨にも…」
183九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.57 ID:7vIhLjSS
 涙を流しながら、必死に伸ばされた彼女の小さな手に、僕は…
184九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.52 ID:7vIhLjSS
「…和泉より、私のことが好き? 牧野さんより?」
185九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.31 ID:7vIhLjSS
 和泉ちゃんの目から、ポロポロと、涙があふれた。
186九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.31 ID:7vIhLjSS
 それは何も僕に限った話じゃない。
187九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.85 ID:7vIhLjSS
「わからない…」
188九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.82 ID:7vIhLjSS
「ぅー、ぅー」
189九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.85 ID:7vIhLjSS
 僕とは、かなり扱いが違うようだ。
190九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.86 ID:7vIhLjSS
 和泉ちゃんは、スカートのすそをきゅっと握りしめると、言葉の半ばでうつむいてしまった。
191九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.85 ID:7vIhLjSS
「そうじゃなくて…」
192九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.85 ID:7vIhLjSS
「あ…ごめん、僕がわからない所を聞いたりしたからだね」
193九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.85 ID:7vIhLjSS
 マリアちゃんまで手が回らないのは申しわけないけど、今日はアリスの奴隷だから諦めてもらおう。
194九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.85 ID:7vIhLjSS
 花梨とは仲良くしたい、でも自分が傷つくことはしたくない――
195九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.85 ID:7vIhLjSS
「止められなかったか?」
196九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.90 ID:7vIhLjSS
 考えちゃいけないはずの言葉が、僕の頭の中を支配していた。
197九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.90 ID:7vIhLjSS
「牧野、さん?」
198九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
「この辺のつづらとか、開けちゃっていいの?」
199九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
『ウサギはね、月の生き物なの』
200九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
「おねえちゃんばっかりじゃなくて、私のことも好きになってくださいね」
201九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.90 ID:7vIhLjSS
 こっそり練習したのは、内緒にしておこう。
202九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.88 ID:7vIhLjSS
「あ…おはよう、ございます」
203九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
 指先に、ぬるぬるしたものがまとわりつくようになった頃、マリアちゃんが切なげな声で言った。
204九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
 花梨も気づいたのか、さっと顔を赤らめた。
205九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
 僕に対する呼称が変化したのは、違う人格に入れ替わっていたから。
206九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
 それで、やっと見つけたと思った居場所は、やっぱり幻だった――だから、泣いている。
207九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
『透矢、雪は…』
208九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
「あ、失礼しました。宮代さんをお待たせしてしまいますものね。参りましょう」
209九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.89 ID:7vIhLjSS
(しかし、なぁ)
210九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.90 ID:7vIhLjSS
「う、うん…それもあるけど…」
211九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.91 ID:7vIhLjSS
「驚かせようと思ってね。行こう」
212九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.18 ID:7vIhLjSS
「そうですよね。じゃあ、私は、そうなるように頑張ります」
213九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.05 ID:7vIhLjSS
「僕たちの見るあの夢は…」
214九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.91 ID:7vIhLjSS
 ぬっ、と庄一、
215九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.91 ID:7vIhLjSS
 巻き上がった砂煙の中、不愉快そうに顔をしかめた雪さんの言葉に、僕は深々とうなずいていた。
216九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.05 ID:7vIhLjSS
 花梨は言葉とは裏腹に、僕の首へ手を回して、再び自分から腰を動かしはじめた。
217九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.91 ID:7vIhLjSS
 吐きそうだった。
218九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.03 ID:7vIhLjSS
 兄妹なら、名前を呼ばれただけで、そんなに幸せそうな顔をしないでほしい…
219九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.90 ID:7vIhLjSS
 妙に野太い声で言った。
220九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.97 ID:7vIhLjSS
「…してください。じゃないと、雪、眠れません」
221九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.05 ID:7vIhLjSS
「ホントだ。ここ、ちょっと面会時間が短すぎるんじゃない?」
222九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
 だいぶ緊張している。
223九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.91 ID:7vIhLjSS
 自覚して、泥沼にはまった。
224九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
「花梨の巫女さん姿か。見てみたいね」
225九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
「あ、ああ」
226九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
「ごちそうさま」
227九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.39 ID:7vIhLjSS
 雪さんの匂いなんて意識したせいか、妙に目が冴えて眠れない。
228九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
 かすかなふくらみの中で、ぴん、と存在を誇示するように立ったピンク色の突起。
229九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
 そうだ、ここは夢の世界。
230九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
 服が体に張りついて気持ち悪い。
231九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.32 ID:7vIhLjSS
 見上げた空にはウサギをかたどった風船が、ぷかぷか、ぷかぷか――
232九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.36 ID:7vIhLjSS
 床に散らばっているのは、雪さんの湯飲み茶碗とガラス製のきれいな受け皿がいくつか。
233九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.48 ID:7vIhLjSS
 そして僕は、この子の笑顔を守っていこう。
234九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.39 ID:7vIhLjSS
 思い出せ。
235九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:34.99 ID:7vIhLjSS
 結果、しめつけは厳しくなり、射精感が一気に加速される。
236九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.51 ID:7vIhLjSS
「透矢さっ…だ、めぇ…」
237九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.56 ID:7vIhLjSS
 ほほに添えた手に、ふわりと彼女の手が重なる。
238九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.22 ID:7vIhLjSS
「わかった、それでいいよ」
239 オオメジロザメ(北海道):2010/05/05(水) 11:27:35.57 ID:Y+ROvkzC
ここ最近の規制三昧も相まってお前らのフラストレーション大爆発だな。
240九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.27 ID:7vIhLjSS
 ポッとほほを赤らめ、空いたほうの手の人差し指の先を軽く口に含む。
241九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.51 ID:7vIhLjSS
 だけど、今日も和泉ちゃんは現れなかった。
242九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.46 ID:7vIhLjSS
「う、うるさいな! キミ、下僕のくせにひとこと多いぞ」
243九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.05 ID:7vIhLjSS
 口の中が、彼女の性器でいっぱいになった。
244九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.46 ID:7vIhLjSS
「ぁっ…ぁん…」
245九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.57 ID:7vIhLjSS
「この前、知り合いの人もピーターパンを読んでたんだ。それで、ちょっとおどろいた」
246九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.56 ID:7vIhLjSS
「和泉の声、すごく可愛いよ。もっと聞かせてほしいな」
247九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.27 ID:7vIhLjSS
(シャワー、浴びてこよう…)
248九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.57 ID:7vIhLjSS
「男の子も、ここ、いいんだ?」
249九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.22 ID:7vIhLjSS
「マリアちゃん、それは違うよ。アリスはそんなつもりじゃない」
250九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.56 ID:7vIhLjSS
「これからそうではなくなる。私が彼女の中に入れば、それで儀式は完成する」
251九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.57 ID:7vIhLjSS
「花梨ちゃんも? まだ始めたばっかりだけど頑張ってるんだ」
252九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.56 ID:7vIhLjSS
「雪が…? 海で、疲れたのかな」
253九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.27 ID:7vIhLjSS
「ごめんね」
254九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.99 ID:7vIhLjSS
 …本当は来たかったんじゃないか。
255九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.27 ID:7vIhLjSS
「みたいだね」
256九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.64 ID:7vIhLjSS
 このひとひらは、僕たちと同じなのかもしれない。
257九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.06 ID:7vIhLjSS
「ええ。さ、そろそろお眠りなさい」
258九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.05 ID:7vIhLjSS
「落ちてたって、僕のかばんの中に?」
259九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:36.64 ID:7vIhLjSS
「…うーん。可愛いよ、すごく」
260九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:35.05 ID:7vIhLjSS
「でしたら、明日でよろしいですか?」
261九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.26 ID:7vIhLjSS
 花梨が触りたくなる気持ちも、わかるような気がした。
262九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.26 ID:7vIhLjSS
 ちょっぴり熱そうに、口の中をもくもく動かして、ごくん。
263九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.26 ID:7vIhLjSS
「そうね。どうせ叶わぬ恋だし」
264九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
「それにしても、あんなちっちゃい子たちにまで手をつけようなんて、もうなんでもアリだね、キミ」
265九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.26 ID:7vIhLjSS
「だから、そういうんじゃないってば。彼女たちは、なんていうか、妹みたいなものだよ」
266九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.26 ID:7vIhLjSS
「…まあ、ね」
267九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
「しつこいなぁ。勝手にしたら」
268九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.32 ID:7vIhLjSS
 きれいにその姿を見せた彼女の局部から愛液が、まるで、先ほどの放尿の時のように吹き出した。
269九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
 どうだ、と花梨が胸を張った――と思ったら、がくっとうなだれた。
270九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
 でも…けっきょく、なんなんだろうな、あの場所は。
271九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
 腕にあたる胸の感触と、下腹部に当たるお尻の感触が…毒だ。
272九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
「素直にタクシーでもなんでも、お願いすれば良かったよ」
273九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
「だ、駄目です! これは…」
274九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.34 ID:7vIhLjSS
「透矢ちゃーん、大丈夫?」
275九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
「っぁ、ぁふ…」
276九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
 その代わりに、アリスは大粒の涙をこぼした。
277九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
 僕には念じることしかできなかった。
278九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.32 ID:7vIhLjSS
「なんとなく、わかったつもりだよ」
279九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.31 ID:7vIhLjSS
「もう朝練の時間だってば」
280九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.49 ID:7vIhLjSS
 僕には、何もしてあげられない。
281九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
「いだだだだだ!」
282九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
 マヨイガ――少なくとも、この向こう側には、それがあるような気がした。
283九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.34 ID:7vIhLjSS
「宮代さんが、舞に失敗してしまって、泣き崩れて…その後…彼女は目覚めないんですの」
284九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
「雪さん…あったかくて、気持ちいい…」
285九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
「あいつ、上がり症なんだ。練習の実力を発揮すりゃ、誰にも負けるわけないんだけどな…」
286九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
「透矢さん…透矢さん…」
287九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
 ちょっと、元気がなかったな。
288九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
「ぅ…ん…」
289九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
「おっぱい、出るようになった?」
290九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.76 ID:7vIhLjSS
「あは、嘘だよ。それが今までの私だったんだから、仕方ないよね」
291九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.82 ID:7vIhLjSS
 腰を突きだすたびに、僕のものからは先走ったものがあふれ、彼女の中を汚した。
292九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.82 ID:7vIhLjSS
「い、ず、み?」
293九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.82 ID:7vIhLjSS
「じゃあ、遊んでー」
294九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.82 ID:7vIhLjSS
 記憶が戻る時。
295九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.86 ID:7vIhLjSS
 もし、僕が平然と弓を引けたら、こんなふうになれただろうか?
296九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:37.64 ID:7vIhLjSS
 でも、そんな僕の喜びとは裏腹に、舞台を降りた彼女は、すこぶる不満そうな顔をしていた。
297九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.01 ID:7vIhLjSS
「ありがとうって、馬鹿だなぁ。そもそも蹴ったのは私じゃない」
298九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.02 ID:7vIhLjSS
 典型的な高熱による症状だ。
299九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.03 ID:7vIhLjSS
「透矢ちゃーん、ごほうびー」
300九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.02 ID:7vIhLjSS
 言いかけると、彼女はそれを止めるように、背中へ回した手に力をこめた。
301九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.01 ID:7vIhLjSS
「ところで」
302九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.02 ID:7vIhLjSS
 そこに浮かぶ、ぼんやりとした輪郭。
303九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.05 ID:7vIhLjSS
 僕と仲がいいのか、やたらに密着してる写真が多くて少し恥ずかしい。
304九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.04 ID:7vIhLjSS
「任せて」
305九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.04 ID:7vIhLjSS
「精霊流しは、お盆の送り日なんかにやる儀式よ。マリアも、お盆くらい、わかるでしょう?」
306九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.04 ID:7vIhLjSS
 彼女の肌は、本当に、同じ人間とは思えないくらい白くて、いかにもサラサラしていそうで…
307九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.04 ID:7vIhLjSS
「我が部きっての射手だよ。記憶があろうとなかろうと、ああいうことは体が覚えてるもんだろ」
308九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.04 ID:7vIhLjSS
 アリスが小馬鹿にしたように笑う。
309九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.07 ID:7vIhLjSS
 うなずき返すと、和泉ちゃんは僕の手を取り、気をつかってか、ずいぶんゆっくり泳ぎ始めた。
310九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.05 ID:7vIhLjSS
 背中越しにも、花梨の頭に血が昇っていくのがわかった。
311九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:27:38.09 ID:7vIhLjSS
 さすがに、マリアちゃんも顔を真っ赤にしてうろたえている。
312 ウマヅラハギ(静岡県):2010/05/05(水) 11:27:43.69 ID:cmfeT7E6
化物語!
313九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.67 ID:lwqbmRru
「なんてことするのぉ…」
314九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.91 ID:lwqbmRru
「それは、困りそうですね」
315九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.69 ID:lwqbmRru
「アリスは、嫌かな?」
316九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.92 ID:lwqbmRru
「うん。なんだかんだで相手しちゃってるし。けっきょく、なつかれちゃってるのよねー……?」
317九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.70 ID:lwqbmRru
 ただ、試合があるだけの朝なのに…
318九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.93 ID:lwqbmRru
 ふくらみはほとんど無いのに柔らかかった。
319九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.94 ID:lwqbmRru
「ええ、きっと、そうですわ」
320九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.95 ID:lwqbmRru
 つまり、僕は一生――
321九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.74 ID:lwqbmRru
「雪はあいかわらず固いんだから。じゃ、二人とも、またね」
322九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.88 ID:lwqbmRru
「男は別。マリアは私に似て可愛いんだから、気をつけないと」
323九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:02.88 ID:lwqbmRru
 まず、物語の主役といえる男女、七波とナナミ。
324九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.12 ID:lwqbmRru
 もっとも、その印象は、僕の機嫌の悪さに起因していると考えられなくもない。
325九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.14 ID:lwqbmRru
「和泉さん自身が決めたことですよ。一生会えないわけでもないでしょうし、元気を出してくださいね」
326九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.16 ID:lwqbmRru
 僕も、もう――
327九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.16 ID:lwqbmRru
「そんなの今さらだよ。ぜんぶ知ってるもん。なにせ片思いが長かったんだから」
328九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.17 ID:lwqbmRru
 落ち込んでいるだろうとは思っていたけど、実際に見た彼女の様子は、僕の予想をはるかに越えていた。
329九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.81 ID:lwqbmRru
「裏にあるのは、あれか、防空壕」
330九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.82 ID:lwqbmRru
 歩きながら、さっきの光景を思い返す。
331九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.83 ID:lwqbmRru
 門を施錠していたものだ。
332九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.84 ID:lwqbmRru
「それなら、正規の得点になるほうを勉強したほうがいいんじゃない…」
333九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.85 ID:lwqbmRru
「旦那様、何も見えず、何もわからずという状態が、どういったものか、おわかりになりますか?」
334九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.86 ID:lwqbmRru
「それは、当たり前でしょう?」
335九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.87 ID:lwqbmRru
「雪さん、きのうは…」
336九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.88 ID:lwqbmRru
 ぺこぺこ――マリアちゃんが、あわてて頭を下げる。
337九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.89 ID:lwqbmRru
 試しに、入り口のところに中指をあてがい、押し広げるようにしてやると、彼女の体は悦びに震えた。
338九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.90 ID:lwqbmRru
 僕だって、そういう事情を知ってしまった今、一概に開発を否定しようっていう気持ちにはなれない。
339九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.92 ID:lwqbmRru
そして、その上に自分の両手を重ね、祈るようなポーズを取った。
340九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.92 ID:lwqbmRru
「い、いや…だってさ…」
341九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.92 ID:lwqbmRru
「っ…あはは…」
342九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.93 ID:lwqbmRru
「デート、してくれる?」
343九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.95 ID:lwqbmRru
 そして、夜には、二人は幾度と無く抱き合った。
344九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.95 ID:lwqbmRru
「あとで、どうなってんのか、詳しく説明してもらうかんな」
345九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.96 ID:lwqbmRru
 僕は、手を、離した。
346九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.97 ID:lwqbmRru
 心配そうな雪さんの声で我に返ると、
347九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.98 ID:lwqbmRru
 そうささやき、彼女は縫い目の上に置かれた僕の手に、再び自分の手を重ねた。
348九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.98 ID:lwqbmRru
「冗談で、こんなこと言わないよ」
349九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:03.99 ID:lwqbmRru
「ここは、いつからこうなのかな?」
350九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.00 ID:lwqbmRru
 と話を進めた。
351九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.01 ID:lwqbmRru
「本当に告白だけだった? 和泉と何かしたの?」
352九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.03 ID:lwqbmRru
「あ」
353九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.03 ID:lwqbmRru
 このまま開発が続けば、そう遠くない未来には、ここにも、人のための道ができたりするんだろうか。
354九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.05 ID:lwqbmRru
 普通に考えて、先約なんだから花梨を優先すべきだろう。
355九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.05 ID:lwqbmRru
 庄一の、鋭く叫ぶような声に、みんなが仕込まれていたように、ざっ、といっせいに座り込んだ。
356九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.06 ID:lwqbmRru
「違うの…透矢は、なんにも悪くない」
357九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.08 ID:lwqbmRru
 どうしてなんだろう?
358九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.08 ID:lwqbmRru
「透矢、和泉は大げさだから、適当に聞き流しておいてね」
359九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.10 ID:lwqbmRru
「頭のてっぺんからつま先まで、舐めるような視線を感じたんですけど」
360九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.10 ID:lwqbmRru
「透矢くん…帰ろうよ…」
361九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.11 ID:lwqbmRru
「確かに、まさか殺人の現場を見せられるとは…」
362九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.13 ID:lwqbmRru
「妹プレイしてたじゃない」
363九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.29 ID:lwqbmRru
 波音がする。
364九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.30 ID:lwqbmRru
「その話は、お兄さんから聞いた?」
365九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.31 ID:lwqbmRru
「和泉さんと一緒にいるものと、思いこんでいました…」
366九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.32 ID:lwqbmRru
「うー」
367九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.33 ID:lwqbmRru
 まるで物語の中の出来事のような事が彼女と一緒にいる時に起こった。
368九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.34 ID:lwqbmRru
 僕の中で、試合の失敗と現在の彼女の様子を結びつけることは、残念ながら、できなかった。
369九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.35 ID:lwqbmRru
 結果だけを知っているっていうことは、何も知らないっていうことと、同じようなものなんだ。
370九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.37 ID:lwqbmRru
 つづらの中には、ボロきれみたいなものが詰まっていた。
371九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.37 ID:lwqbmRru
 扉の向こうから現れたのは、手いっぱいの花をかかえた、女の子。
372九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.39 ID:lwqbmRru
 顔をあげた和泉ちゃんと目が合って、僕の鼓動は一気に速まった。
373九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.39 ID:lwqbmRru
「駄目かな。僕も、一人より二人のほうが心強いし」
374九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.41 ID:lwqbmRru
「ごもっとも」
375九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.41 ID:lwqbmRru
 夜風のせいかもしれない。
376九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.43 ID:lwqbmRru
 子供の頃は、こんなふうだったのかもしれない。
377九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.44 ID:lwqbmRru
 また、無言電話…
378九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.45 ID:lwqbmRru
「あ…ぅ…」
379九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.46 ID:lwqbmRru
 すれ違いざま、彼女はそうつぶやき、道場を去っていった。
380九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.48 ID:lwqbmRru
 和泉ちゃんが、少しだけ、遠い存在に感じられた。
381九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.49 ID:lwqbmRru
 だからなのか、単に夢で慣れてしまったのか、今回は落ちついたものだ。
382九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.50 ID:lwqbmRru
「はぁ、何が花梨をそこまで」
383九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.51 ID:lwqbmRru
「謝らなくていいよ。気にしてないから」
384九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.53 ID:lwqbmRru
 そうだ、僕は彼女を知っている。
385九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.57 ID:lwqbmRru
「動くよ?」
386九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.58 ID:lwqbmRru
「いや、あのー、確かに雪さんと離れるのが怖い気持ちはあるけど、そこまでされちゃうと…」
387九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.64 ID:lwqbmRru
「真っ赤ですよ。ぼんやりしていますし、調子が悪いんじゃありません?」
388九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.66 ID:lwqbmRru
「もっと…」
389九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:04.66 ID:lwqbmRru
 誰かに見守っていてほしいと。
390九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:05.27 ID:lwqbmRru
「なんだと思います?」
391九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:05.27 ID:lwqbmRru
 確かな像を結び始めた視界の向こうで、女は幸せそうに笑っていた。
392九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:05.27 ID:lwqbmRru
「透矢…透矢…」
393九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:05.94 ID:lwqbmRru
「怒ってたというより…痛いところを突かれてムキになってた。花梨の言い分は、もっともだったし」
394九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:05.94 ID:lwqbmRru
「だって、部活とかお祭りとか、これで意外と忙しいんだもん」
395九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:05.91 ID:lwqbmRru
「なんかわかるけど、緊張ねぇ」
396九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.11 ID:lwqbmRru
「っまぁ…」
397九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「え? あぅ…べ、別に、そんなに大きくならなくても…」
398九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「野郎の面倒見るのはごめんでーす」
399九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
「…どうかしてる。お人好しにも程があるわよ」
400九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「からかっていますの? いつも通り、ナナミと呼んでくださいな」
401九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
 不思議そうな顔をされてしまった。
402九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
「そんなことないって。それに、友達なんだから、何かある時はお互いさまだよ」
403九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「透矢ちゃんの、おち…」
404九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.11 ID:lwqbmRru
「おはよう。仲直り、できたの?」
405九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「あんた、それに関してはプロだもんね」
406九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
(わざわざ買ってきたのかなぁ)
407九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
「雪さんが、いなくなってからだよ」
408九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「怪(あやかし)…」
409九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.36 ID:lwqbmRru
「はぅぅぅ、おね〜ひゃふ、ひたひ〜」
410九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
 まさか、神様を見たっていうことはないだろうけど、気になる存在なのは確かだし好都合だ。
411九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「僕が出るからいいよ」
412九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.11 ID:lwqbmRru
「勝手に上がり込んで、ぜんぶ支度したくせに…」
413九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
「和泉、また明日ね」
414九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
 すると、徐々に道が狭まり、悪路が目立つようになり始める。
415九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
 僕はゴム弓を手に持ち、それを引く直前のポーズまで取ったところで、動くのをやめた。
416九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
 何度もわき上がるその衝動だけどうにか押し殺して、僕は…、
417九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
 退院してあっという間の三週間だった。
418九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
 身振り手振りをまじえながら話すマリアちゃんの肩口には、きれいな水着の跡が見えた。
419九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
「いや…何も用事がなければつき合うと思うけど」
420九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
 僕が楽だからって、記憶喪失の自分を容認しているのは…たぶん、いけない。
421九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「アリスも、いい?」
422九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
「ううん。透矢くんがいなかったら、私は今ごろ…」
423九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.12 ID:lwqbmRru
 どっと疲れて肩を落とすと、庄一が近づいてきた。
424九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.13 ID:lwqbmRru
「明日、本番だよね」
425九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.36 ID:lwqbmRru
「あの女がキツネの耳やら尻尾やらを隠しているとでも思った?」
426九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.63 ID:lwqbmRru
「別にいいさ。ほれ、お子様は暗くなる前に帰りな」
427九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.64 ID:lwqbmRru
「どいつもこいつも和泉には甘いなぁ」
428九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.63 ID:lwqbmRru
 結論だけを伝えてマリアちゃんを挑発すれば、反発する気持ちは、ひとまずアリスに向かうはずだ。
429九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.73 ID:lwqbmRru
 なったけど、何もできなかった。
430九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.74 ID:lwqbmRru
「透矢が…ショーツ、ぎゅうぎゅうってするからだよぉ」
431九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.76 ID:lwqbmRru
「そんなことないですよ。愚痴を聞いてもらって、すっきりしちゃいました!」
432九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.92 ID:lwqbmRru
 女の子は両手でホウキをかかえたまま、もじもじと落ちつきなく体を揺すった。
433九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:06.92 ID:lwqbmRru
「はっ…よくよく愛されたものだな…存在もしないものが」
434九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.10 ID:lwqbmRru
「…どこで覚えたわけ、そんなこと」
435九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.10 ID:lwqbmRru
「アリス、叩くのは…ね」
436九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.09 ID:lwqbmRru
「夢とか?」
437九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.10 ID:lwqbmRru
「え? ああ、さっきのこと」
438九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.15 ID:lwqbmRru
「…本当に、このまま部活に出席されるんですか?」
439九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.19 ID:lwqbmRru
 和泉ちゃんと、ふたりになる機会を作ってくれたのかもしれない。
440九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.25 ID:lwqbmRru
「ありがとうございます。それでは、今日だけ、家のことを、よろしくお願いしますね」
441九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.25 ID:lwqbmRru
「ふーん。キミ、私とキスする想像なんかしたことあるんだ?」
442九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.26 ID:lwqbmRru
 静かな時。
443九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.25 ID:lwqbmRru
「あは。透矢さん、私にも…」
444九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.25 ID:lwqbmRru
「さあ」
445九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.25 ID:lwqbmRru
「雪はもう、いいんです」
446九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.20 ID:lwqbmRru
「ふふ、かぐや姫の伝説は、確かにマヨイガとこの世界との物語かもしれませんわね」
447九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.27 ID:lwqbmRru
 近くで顔を見たわけじゃないから分からないけど、もしかしたら双子なのかもしれない。
448九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.27 ID:lwqbmRru
「ったいなぁ…もぉぉ…」
449九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.27 ID:lwqbmRru
「…ここは」
450九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.28 ID:lwqbmRru
「ううん、そう思ってもらえると助かる」
451九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.27 ID:lwqbmRru
「お姉ちゃん、するとかしないって、なんの話?」
452九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.27 ID:lwqbmRru
「じゃあ、悪いんだけど、ちょっと出られる?」
453九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.27 ID:lwqbmRru
 知ってしまったことで、わからなくなることがあるなんて思わなかった。
454九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.34 ID:lwqbmRru
 でも、地面を蹴る音が不安で、やっぱり振り返った。
455九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.26 ID:lwqbmRru
 どう考えても、人間がたちうちできるものじゃない。
456九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.48 ID:lwqbmRru
「普通はそうよね。それじゃあ、悪いんだけど、聞かなかったことにしておいて」
457九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.49 ID:lwqbmRru
 それにひきかえ、
458九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.50 ID:lwqbmRru
 彼女がいてくれないと不安になる。
459九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.52 ID:lwqbmRru
「駄目ぇ…まだ、早いよぉ…」
460九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.52 ID:lwqbmRru
「ひとりでやってみよう。駄目そうなら、すぐに言ってくれればいいから」
461九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.52 ID:lwqbmRru
 となると、本当のことか?
462九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.52 ID:lwqbmRru
「…子供じゃないんだから」
463九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.52 ID:lwqbmRru
 …なんの話をしているのやら。
464九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.51 ID:lwqbmRru
 マリアちゃんが自分の体を抱きしめるようにしながら、小さな体を身震いさせた。
465九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.53 ID:lwqbmRru
 言いながら、雪さんは僕の着ているシャツを見て『ああ』と、合点がいった様子でうなずいた。
466九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.53 ID:lwqbmRru
 女の子とのやりとりを終えて戻った僕に雪さんは、
467九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.52 ID:lwqbmRru
『ですから、そんなものなんだと思いますよ、常識なんて』
468九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.53 ID:lwqbmRru
 ――では、そろそろ行きましょうか。
469九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.53 ID:lwqbmRru
 指定された場所は、マヨイガ。
470九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.56 ID:lwqbmRru
 言葉にしてみると、その響きはおどろくほど自然に自分の中へ染みこんでいった。
471九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.57 ID:lwqbmRru
「悪くもないのに謝らないでよ」
472九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.56 ID:lwqbmRru
 それに、そんなことをすれば、もういちど彼女に会える可能性までも断たれてしまう。
473九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.61 ID:lwqbmRru
 七夕、精霊流し、ちょうちん――
474九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
「よろしいんですの、脱がなくても」
475九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.64 ID:lwqbmRru
「相変わらずだよねぇ、キミは」
476九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
「あがり症だし?」
477九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
「透矢、こ、これ、苦しくないの?」
478九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
「今日は良く笑ってくれるね」
479九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
「あれは…」
480九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.66 ID:lwqbmRru
 アルバムはぜんぶで五冊あった。
481九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
「ママの言うことを聞きなさい。おねんねのおまじないを、してあげますから」
482九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
 思わず、身を乗り出した。
483九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
 マヨイガ、神隠し――あれも夢や幻の一部だったのか…?
484九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.65 ID:lwqbmRru
 さっきのベンチも…そうだ。
485九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.73 ID:lwqbmRru
 おかえり、ナナミ――
486九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.75 ID:lwqbmRru
『ほら、お月様では、ウサギがお餅をついているって、教えたでしょう?』
487九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.70 ID:lwqbmRru
 マリアちゃんは空気で何かを察しているのか、怯えるようにアリスの服のすそをつかんで離さない。
488九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.70 ID:lwqbmRru
「あは、は…やっぱさ、私たちってこういうの駄目だねぇ。本気で恥ずかしい」
489九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.79 ID:lwqbmRru
「僕のことはいいんだよ。雪さんが、ひとりのほうがいいって言うならあきらめるけど」
490九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.78 ID:lwqbmRru
 仕方ないから、入り口の辺りで、出したり入れたりをくり返した。
491九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.79 ID:lwqbmRru
 意思のやどらない瞳、青ざめた白い肌、氷のように冷たい体。
492九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.78 ID:lwqbmRru
「…参ったな。ちょっと、悩みというか、辛いことがあって」
493九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.74 ID:lwqbmRru
「わたくしは、和泉さんと、これまで通りでよろしいですわね?」
494九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.83 ID:lwqbmRru
「大丈夫ですよ。何も心配しなくて、大丈夫です」
495九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.84 ID:lwqbmRru
「な…なんで、そんなことを僕に話すんですか」
496九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.84 ID:lwqbmRru
 彼女の待つ場所に向かおう。
497九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.88 ID:lwqbmRru
「安心できないよぉ…った!」
498九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:07.89 ID:lwqbmRru
「じゃあ、医者に…」
499九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.02 ID:lwqbmRru
 と、それ以上の思考をさえぎろうとするように扉が開いた。
500九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.03 ID:lwqbmRru
 そう言った牧野さんは、でも、やっぱりいつもより寂しげで、
501九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.05 ID:lwqbmRru
 聞かせたところで、納得なんかしてもらえないだろう。
502九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.06 ID:lwqbmRru
「いえ、言い出したのは雪ですから…」
503九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.07 ID:lwqbmRru
「おーい、頼むからそーいう暗い顔で見送りするな。呪いでもかけられてる気分だぜ」
504 アオメエソ(茨城県):2010/05/05(水) 11:28:08.08 ID:+I/7adGe
さすがaKOちゃんやで
505九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.10 ID:lwqbmRru
 本音をもらしてしまった。
506九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.11 ID:lwqbmRru
 どこか学校に通っているわけでもないのに、雪さんは勉強ができる人だ。
507九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.13 ID:lwqbmRru
 自信は…持てなかった。
508九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.14 ID:lwqbmRru
「え? きゃっ…いっ…ぃ!」
509九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.15 ID:lwqbmRru
「…それで、和泉は私に舞をやめろって言うわけ?」
510九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.17 ID:lwqbmRru
「ごめんね、いいよ、和泉ちゃんで。私も我慢できなくなっちゃった」
511九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.18 ID:lwqbmRru
 花梨は、うれしそうに手を握り、身を寄せてきた。
512九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.19 ID:lwqbmRru
「それは、まあ」
513九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.20 ID:lwqbmRru
「舐めちゃ、駄目だよ?」
514九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.21 ID:lwqbmRru
 うなずき返すと、和泉ちゃんはにこにこ笑って、僕をさらに底へと導いた。
515九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.22 ID:lwqbmRru
 少なくとも、これではっきりした。
516九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.24 ID:lwqbmRru
「あの人は、そんなんじゃないよ。感謝なんかしないで」
517九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.25 ID:lwqbmRru
「アリスも、そろそろいい?」
518九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.26 ID:lwqbmRru
 どうにも、父さんの言い分は、もっともらしくもあれば、詭弁めいてもいる。
519九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.28 ID:lwqbmRru
「おい、しっかりしろ!」
520九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.30 ID:lwqbmRru
「ママがいなくなっちゃって、おねえちゃんともケンカしちゃって…」
521九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.31 ID:lwqbmRru
「スイカ割りー」
522九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.32 ID:lwqbmRru
「まっすぐまっすぐ…はい、そこです」
523九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.34 ID:lwqbmRru
 万事が父さんの想像の域を出ない話ばかりだからだろう。
524九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.34 ID:lwqbmRru
「透矢さんでも…魔女の子は、受け入れられませんか?」
525九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.36 ID:lwqbmRru
「…まあ、そういう割り振りになるだろうね」
526九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.39 ID:lwqbmRru
「和泉ちゃんのスクール水着のストックでも借りてくりゃいいだろ」
527九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.41 ID:lwqbmRru
 卑怯者…。
528九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.41 ID:lwqbmRru
「秘密基地? へえ…でも、秘密なのに僕を連れていっちゃって、いいの?」
529九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.44 ID:lwqbmRru
 家業が医者であり、父さんも当然の流れでその跡をつぐはずだった。
530九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.49 ID:lwqbmRru
「ここ…んっ…気持ちいいですか?」
531九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.50 ID:lwqbmRru
「和泉の手紙に、ごめんなさいって、あったのね」
532九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.51 ID:lwqbmRru
“ざっぱーーーん”
533九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.55 ID:lwqbmRru
 スパッツの中をひとしきり撫で終えたところで、小さな体を机の上にのせた。
534九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.56 ID:lwqbmRru
 短冊は一枚しかない。
535九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.57 ID:lwqbmRru
 次に目を開いた時、彼女が目覚めていたらいいな、なんてことを考えながら。
536九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.58 ID:lwqbmRru
(これは…)
537九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:08.59 ID:lwqbmRru
「透矢さん? 少々お待ち下さい」
538 コショウダイ(東京都):2010/05/05(水) 11:28:14.17 ID:XjIu9tZH
すごい一体感を感じる
世界にも勝てそうだ
539 ムツゴロウ(和歌山県):2010/05/05(水) 11:28:19.49 ID:K2eLs2Gz
540 ヒメ(西日本):2010/05/05(水) 11:28:20.03 ID:YFe5LkjG
なんだこれは・・・たまげたなぁ
541 アオザメ:2010/05/05(水) 11:28:22.10 ID:9pXT8kFF
なにここ
542 スジシマドジョウ(千葉県):2010/05/05(水) 11:28:24.79 ID:tbl0Omfr
                イ  ̄   ン -ー' ̄ 二 、
                 /   メ   、   /    ` 、
               イ !   / /  i / / !       !
             ノ 〈 / / /!  ハ ノ ハ     !
              l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z  !     !
                ーr'´ニェ 、   ,  _ェォ=、  く    /
                i \   / ̄} イ  ̄ }ー !   /
                !    ̄ ノ   ゝ - イ   Yヽ
              !    い メ ′         /
                 !   ィ=== 、       Λイ
              !  ムエエエ九ヽ     /
                 l  ` ー一  `  //
                /i > _    _ イ Λ
           _ -‐./:.:.:.:l!     ̄     /:.:.i、
      /: ̄:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.l         /:.:.:.:.l`:.:ー 、
   / .:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:ゝ       /:.:.:.:.:.:ゝ:.:.:.:.:.`.:.-
    ⊂⊃   ∩⊂⊃   /7、>     ∩ /7   /7  ⊂ニ フ
 ∩∩  ∩  l l      // ぃ       l l//   //   //
 ∪l l_∩∪ l l    丶ヽ  ⊂ニ、ヽ / /   丶ヽ  〈 ニニ ヽ
  └― ┘  ∪⊂ ⊃  ヽ>  ⊂ン 丶ニニ⊃  ヽ>  (三`_ノ
543 タイガーレッドテールキャットフィッシュ(中部地方):2010/05/05(水) 11:28:25.68 ID:7C8WIOOv
神曲きたああああああああああああああああああああ
544 アオメエソ(dion軍):2010/05/05(水) 11:28:28.57 ID:0bRr4l0X
きったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
545 アメリカン・シクリッド(静岡県):2010/05/05(水) 11:28:32.49 ID:9HJhBuvv
※鳥肌注意※
546 ライギョ(滋賀県):2010/05/05(水) 11:28:33.22 ID:/sR2Ch9Z
奈々きたあああ
547 アオメエソ(アラバマ州):2010/05/05(水) 11:28:33.57 ID:ouV3NrZe
>>542
       ヽ、,jトttツf( ノ
      \、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
   =、..,,,ニ;ヲ_     ヾ彡r''"^
    ``ミミ,   i'⌒!   ミミ=-  イ  ̄   ン -ー' ̄ 二 、
   = -三t   f゙'ー'l   ,三``'' /   メ   、   /    ` 、
     ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ''  イ !   / /  i / / !       !
     / ^'''7  ├''ヾ!   ノ 〈 / / /!  ハ ノ ハ     !
    /    l   ト、 \    l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z  !     !
     〃ミ ,r''f!  l! ヽ.    ーr'´ニェ 、   ,  _ェォ=、  く    /
   ノ ,   ,イ,: l! , ,j! ., ト、    i \   / ̄} イ  ̄ }ー !   /
    / ィ,/ :'     ':. l ヽ. 、  !    ̄ ノ   ゝ - イ   Yヽ
   / :: ,ll         ゙': ゙i,ヽ  !    い メ ′         /
  /  /ll         '゙ ! \ !   ィ=== 、       Λイ
    /' ヽ.          リ    !  ムエエエ九ヽ     /
   /  ヽ        /    l  ` ー一  `  //
   /  r'゙i!     .,_, /   /i > _    _ イ Λ
  /.     l!       イ -‐./:.:.:.:l!     ̄     /:.:.i、
  /   ,:ィ!        ト、:.:/:.:.:.:.:.l         /:.:.:.:.l`:.:ー 、
  ,r''"´~ヾ=―――=''′`ゝ:.:.:.::.:ゝ       /:.:.:.:.:.:ゝ:.:.:.:.:.`.:.-
548 シマダイ(アラバマ州):2010/05/05(水) 11:28:34.86 ID:bsUsimxC
                イ  ̄   ン -ー' ̄ 二 、
                 /   メ   、   /    ` 、
               イ !   / /  i / / !       !
             ノ 〈 / / /!  ハ ノ ハ     !
              l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z  !     !
                ーr'´ニェ 、   ,  _ェォ=、  く    /
                i \   / ̄} イ  ̄ }ー !   /
                !    ̄ ノ   ゝ - イ   Yヽ
              !    い メ ′         /
                 !   ィ=== 、       Λイ
              !  ムエエエ九ヽ     /
                 l  ` ー一  `  //
                /i > _    _ イ Λ
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   / .:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:ゝ       /:.:.:.:.:.:ゝ:.:.:.:.:.`.:.-
    ⊂⊃   ∩⊂⊃   /7、>     ∩ /7   /7  ⊂ニ フ
 ∩∩  ∩  l l      // ぃ       l l//   //   //
 ∪l l_∩∪ l l    丶ヽ  ⊂ニ、ヽ / /   丶ヽ  〈 ニニ ヽ
  └― ┘  ∪⊂ ⊃  ヽ>  ⊂ン 丶ニニ⊃  ヽ>  (三`_ノ
549 モルミルス(東京都):2010/05/05(水) 11:28:35.50 ID:Qaq+zQrN
くこか
550 キホウボウ(三重県):2010/05/05(水) 11:28:38.38 ID:nqpzA4Ws
水樹か
551 イスズミ(福井県):2010/05/05(水) 11:28:40.29 ID:qwJcq3E2
きたた「

552 スリースポットグラミー:2010/05/05(水) 11:28:41.31 ID:VVvkiYcx
なんだこのスレw
553 オオセ(東京都):2010/05/05(水) 11:28:42.66 ID:BbM/OpwN
                イ  ̄   ン -ー' ̄ 二 、
                 /   メ   、   /    ` 、
               イ !   / /  i / / !       !
             ノ 〈 / / /!  ハ ノ ハ     !
              l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z  !     !
                ーr'´ニェ 、   ,  _ェォ=、  く    /
                i \   / ̄} イ  ̄ }ー !   /
                !    ̄ ノ   ゝ - イ   Yヽ
              !    い メ ′         /
                 !   ィ=== 、       Λイ
              !  ムエエエ九ヽ     /
                 l  ` ー一  `  //
                /i > _    _ イ Λ
           _ -‐./:.:.:.:l!     ̄     /:.:.i、
      /: ̄:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.l         /:.:.:.:.l`:.:ー 、
   / .:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:ゝ       /:.:.:.:.:.:ゝ:.:.:.:.:.`.:.-
554 アオメエソ(千葉県):2010/05/05(水) 11:28:44.33 ID:1hm1ZLj7
ホワイトアルバムは
みずきななのためだけにある。
555 アカマンボウ(東京都):2010/05/05(水) 11:28:44.64 ID:+aMpI/21
これは胸熱・・・
全世界を敵に回してもなんたら
556 イトヨリダイ(兵庫県):2010/05/05(水) 11:28:46.13 ID:W/MGqP+o
っここか
557 アオメエソ(神奈川県):2010/05/05(水) 11:28:46.75 ID:pwqcopju
ようやく本気出してきたな
558 ユカタハタ(千葉県):2010/05/05(水) 11:28:49.85 ID:x/iO6Bcy
自演石川の素が見えた瞬間だったな
559 アブラソコムツ(関西地方):2010/05/05(水) 11:28:50.22 ID:C9NLMTJm
ここでいいのか?
560九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.64 ID:OkdRfgrZ
 誰の言葉だったのか、覚えていないけどお笑いぐさだ。
561九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.67 ID:OkdRfgrZ
 じぃっと僕の顔をのぞきこむ花梨。
562九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.64 ID:OkdRfgrZ
「じゃあ、和泉ちゃん、さっきの子なんだけど」
563九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.05 ID:OkdRfgrZ
「別に、そういうんじゃないんだけど」
564九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.05 ID:OkdRfgrZ
「雪さん、もうちょっと昇ってみようと思うんだけど、いい?」
565九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.83 ID:OkdRfgrZ
「制服がですか?」
566九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.06 ID:OkdRfgrZ
「ぁ…ぅ、ううん…気持ちいい…」
567九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.06 ID:OkdRfgrZ
 僕の事なんてお見通しなのか、アリスがニコニコと威圧してくる。
568九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.10 ID:OkdRfgrZ
「お、お見合い? 和泉ちゃんが? どうして!?」
569九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.61 ID:OkdRfgrZ
 僕は、そんな彼女のほっぺたを、指先でぎゅーっと押した。
570九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.10 ID:OkdRfgrZ
 友達は、みんないなくなったり入院していたりするし…彼女のほうばかり見ているからだろうか。
571九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.10 ID:OkdRfgrZ
「遅いよ、もう。男の長話なんてロクなもんじゃないに決まってるんだから。で、庄一は?」
572九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.12 ID:OkdRfgrZ
 ふと、雪さんの言葉が思い出された。
573九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.11 ID:OkdRfgrZ
 恐らく、僕の記憶の中に眠っていた声。
574九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.13 ID:OkdRfgrZ
「んー、たぶん寝てた」
575九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.71 ID:OkdRfgrZ
「隠してないよ…痛いったら」
576九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.17 ID:OkdRfgrZ
「なんか、難しいんだけど」
577九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.66 ID:OkdRfgrZ
『…はは、なんか、雪さんはどうしても僕に、その事を信じさせたいみたいだ』
578九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.67 ID:OkdRfgrZ
 雪さんは、文字にしたら語尾に『!』でもつきそうな勢いで言って、顔を背けてしまった。
579九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.72 ID:OkdRfgrZ
「やっぱり、那波ちゃんのことが気になるんだね」
580九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.91 ID:OkdRfgrZ
「緊張してるんだ…ね?」
581九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.12 ID:OkdRfgrZ
 和泉ちゃんが、飛びかかった意識をすくい上げてくれた。
582九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.69 ID:OkdRfgrZ
 ほっぺたに口づけをして、彼女は…
583九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.83 ID:OkdRfgrZ
“ぼかっ”
584九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.63 ID:OkdRfgrZ
 でも、和泉ちゃんは不満な顔をするでもなく、無表情に顔をふせるばかりだった。
585九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.96 ID:OkdRfgrZ
 彼女は、それを思って…また夢の中みたいなことをするんだろうか、と。
586九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.98 ID:OkdRfgrZ
「透矢さん、こちらをご覧になっていただけますか?」
587九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.99 ID:OkdRfgrZ
「あー、あのね、悪いんだけど、僕はこれから病院に行かないといけなくて…」
588九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.97 ID:OkdRfgrZ
 涙が、浮かんでいた。
589九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.22 ID:OkdRfgrZ
「あ…ごめん。雪さん、さっきの、もういちど言ってくれないかな?」
590九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.23 ID:OkdRfgrZ
 何かある、ということはなかった。
591九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.22 ID:OkdRfgrZ
 僕は、またゆっくりと腰を前後させ始めた。
592九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.23 ID:OkdRfgrZ
「マリア、よけいなこと言うんじゃないわよ」
593九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.23 ID:OkdRfgrZ
 そして、それを僕の座る椅子にぴったりと寄せ、いそいそと腰を下ろす。
594九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.02 ID:OkdRfgrZ
 問題なしじゃないと思うんだけどなぁ…と言いたげな顔で和泉ちゃんが、こっそり苦笑していた。
595九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.22 ID:OkdRfgrZ
 泣いていた。
596九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.00 ID:OkdRfgrZ
「あ、いえ! でもあの、どうして、私の心配なんてしてくれるんですか」
597九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.35 ID:OkdRfgrZ
 ひらひらのワンピースは汗で体に張り付き、いつも自慢げに、ふわふわ揺れていた髪も重そうだ。
598九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.34 ID:OkdRfgrZ
「ごめんね。七夕の日に見ちゃって…」
599九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.35 ID:OkdRfgrZ
 たぶん、僕より慣れてるっていうのが、男としては複雑なところだけど。
600九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.34 ID:OkdRfgrZ
「だって、放っておいたら僕の前からいなくなっちゃうんでしょう?」
601九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.25 ID:OkdRfgrZ
「悪いけど遠慮するわ。ちょっと状態が特殊だから、ハンパな事をされると悪影響が出かねないのよ」
602九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.54 ID:OkdRfgrZ
「女の子の気持ち…甘く考えすぎ」
603九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.54 ID:OkdRfgrZ
 そんな考えが頭をよぎっておかしくなった。
604九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
 口の中が、彼女の性器でいっぱいになった。
605九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「雪は…」
606九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
 雪さんが僕のことを好きなのは間違いないだろうし、僕だって、雪さんの事が好きだ。
607九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「神様の名前ですよ」
608九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「はは…どうだろう」
609九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
 花梨が、胸を攻められるのに弱いのは、もう明らかだ。
610九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「あ、なに…」
611九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「…私がなぁに?」
612九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
 これで何度目だろう、那波が絶頂に達したのは。
613九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「しかし、久しぶりに見たけどホントに速いな。花梨だって、女子のほうじゃ、かなり速いだろ?」
614九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「我が部きっての射手だよ。記憶があろうとなかろうと、ああいうことは体が覚えてるもんだろ」
615九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.62 ID:OkdRfgrZ
「ちょっと、指が…」
616九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「あ、そうそう…それよりさ、聞きたいことがあるんだ。父さんの本に書いてあった事で、ちょっと…」
617九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.62 ID:OkdRfgrZ
「はぁ、人の足をよだれまみれにして、何やってるんだか、この底なし馬鹿は」
618九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.58 ID:OkdRfgrZ
「じゃあ、一緒に連れてってよ。荷物持ちくらいするから」
619九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.55 ID:OkdRfgrZ
「冗談だったのになぁ…和泉、あとはよろしく」
620九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.58 ID:OkdRfgrZ
「まあね。ここまで伸びると、切るに切れなくて」
621九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.76 ID:OkdRfgrZ
「実際にあった事だからよ」
622九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「ほとんどな。今日も、向こうの都合で休みになっただけだし」
623九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「そうか、期末テスト。期末テストかぁ」
624九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「僕も、そうみたいだ」
625九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
 でも、目印は見つからなくて。
626九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
 ――少し、考えさせてほしいんだ。
627九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「それで、帰ってきたんだよね?」
628九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「ええ、それが雪のお仕事なんですから、どうかお気になさらずに」
629九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「ちがうよ…っく…透矢だから…っ…がまんできるって…だからぁ…」
630九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
 彼女が言っていたのは、そういった内容のことだった。
631九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「宮代さんの、晴れ舞台ですものね」
632九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
 僕は、徐々に彼女のされるがままになっていった。
633九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.79 ID:OkdRfgrZ
「怖い夢を、見られたんですか?」
634九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.77 ID:OkdRfgrZ
「まいったな」
635九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.88 ID:OkdRfgrZ
「なに…ここ」
636九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.88 ID:OkdRfgrZ
 てっきり、もう女の子に譲ってしまったと思っていたのに。
637九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.89 ID:OkdRfgrZ
「いつまでも夢からお帰りにならないようでしたら、雪が、起こしてさしあげますけど」
638九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.91 ID:OkdRfgrZ
 いよいよ動物扱いだ。
639九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.93 ID:OkdRfgrZ
「聞こえていたということは、起きていたということじゃありませんか」
640九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.91 ID:OkdRfgrZ
「どっちかっていうと、せっかく来てくれたんだから、他の人より、雪さんを優先したいんだけど…」
641九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.94 ID:OkdRfgrZ
「自我が、薄い?」
642九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.93 ID:OkdRfgrZ
 今となっては、あの夢が現実に起こったこと、それらをきっかけにして作られたものだとは考えづらい。
643九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.94 ID:OkdRfgrZ
「わはーわはーわはー」
644九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.94 ID:OkdRfgrZ
 悪い時には、悪いことが重なってしまうものだな…
645九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.94 ID:OkdRfgrZ
「優しいんですのね」
646九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.92 ID:OkdRfgrZ
 ほんの数秒で、事が済んでしまった。
647九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.94 ID:OkdRfgrZ
「…約束した記憶はないんだけどなぁ」
648九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.95 ID:OkdRfgrZ
 どうも一緒に本を読めるのがうれしいらしい。
649九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.96 ID:OkdRfgrZ
 声が聞こえていないのか、それとも聞こえていたからなのか、水の勢いは増すばかり。
650九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.03 ID:OkdRfgrZ
 彼女は目が見えないわけだし、車の中からじゃ、気配も何もないはずだ。
651九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.98 ID:OkdRfgrZ
「仕方ないなぁ…」
652九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:52.98 ID:OkdRfgrZ
 そんなところまで一緒なのか…
653九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.05 ID:OkdRfgrZ
「本当ですの」
654九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.06 ID:OkdRfgrZ
 舌をうごかすたびに、アリスの唇が開かれていく。
655九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.07 ID:OkdRfgrZ
 そんな彼女が、子供じみたおまじないを人目も気にせず真剣におこなっている。
656九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.08 ID:OkdRfgrZ
 流しに血を吐き出して、うがい。
657九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.09 ID:OkdRfgrZ
「はぁぁ…」
658九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.11 ID:OkdRfgrZ
「失礼します。コーヒーのほうが入りましたので、お持ちしました」
659九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:51.68 ID:OkdRfgrZ
「気にしなくていいよ。それより急がなくちゃ」
660九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.13 ID:OkdRfgrZ
 ふと、そんな考えがよぎった。
661九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.15 ID:OkdRfgrZ
「大丈夫だよ…大丈夫…」
662九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.33 ID:OkdRfgrZ
「明日の夜」
663九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.34 ID:OkdRfgrZ
「わかったよ…もう…」
664九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.36 ID:OkdRfgrZ
「僕は大丈夫だよ。あんな話された後じゃ心配だしね」
665九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.37 ID:OkdRfgrZ
「うん。教えたっけ?」
666九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.38 ID:OkdRfgrZ
「バイト代出たから、おごるぜ」
667九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.38 ID:OkdRfgrZ
「ごちそうさま」
668九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.39 ID:OkdRfgrZ
 夢は、いつか覚めるんだ。
669九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.41 ID:OkdRfgrZ
 雪さんが、僕を想ってしてくれるのは、はずかしいけど、うれしい。
670九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.43 ID:OkdRfgrZ
「んー、別に嫌いとは言わないけどさ」
671九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.43 ID:OkdRfgrZ
 常世への門、開かれた…その先にある、美しい世界。
672九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.44 ID:OkdRfgrZ
「まだ、家に戻られていないと。心当たりはありませんか?」
673九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.47 ID:OkdRfgrZ
『ま、おまえが期待されてるってほうが正 しいんだけどな』
674九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.49 ID:OkdRfgrZ
「ありがとうございます。それでは、今日だけ、家のことを、よろしくお願いしますね」
675九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.50 ID:OkdRfgrZ
「あなただけなら、それでもいいわよ。私や透矢を巻き込まないで」
676九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.51 ID:OkdRfgrZ
「だって、もうメイドさんじゃないから。雪さんは、今から瀬能雪」
677九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.52 ID:OkdRfgrZ
 ひんやりとした空気が流れ出していた。
678九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.53 ID:OkdRfgrZ
「するって…」
679九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.54 ID:OkdRfgrZ
「大丈夫です。…昨晩、遅くまでアルバムを見ていたりしましたから、少し、寝不足なのかもしれません」
680九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.56 ID:OkdRfgrZ
 そして、意識は闇の中へ…。
681九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.58 ID:OkdRfgrZ
 和泉ちゃんからお見舞いにもらった、おいしいと評判のクッキーよりもおいしい。
682九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.59 ID:OkdRfgrZ
 僕は、少しずつペースを上げていくことにした。
683九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.60 ID:OkdRfgrZ
「ふふ…良かったですね、花梨さんも」
684九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.62 ID:OkdRfgrZ
「送り迎えまでしていただいて…図々しいとわかっていても、目が、これなので、つい」
685九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.63 ID:OkdRfgrZ
「……宮代さん、遅いねぇ」
686九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.64 ID:OkdRfgrZ
「そうか…そうかもしれないな」
687九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.65 ID:OkdRfgrZ
「そっか。あ…ごめん、嫌なこと聞いて」
688九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.67 ID:OkdRfgrZ
「もうちょっとだなんて…嫌です。もっとたくさんしてくださらないと」
689九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.67 ID:OkdRfgrZ
「僕だって、引けるものなら引きたいよ。でも、本当に引けないんだ」
690九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.70 ID:OkdRfgrZ
 なのに、僕は彼女を抱いた。
691九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.68 ID:OkdRfgrZ
「なるわけないじゃないか」
692九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.70 ID:OkdRfgrZ
 陽が傾き始めていた。
693九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.71 ID:OkdRfgrZ
 砂利を踏む音で、我に返った。
694九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.73 ID:OkdRfgrZ
「言いながら足を上げるな…俺じゃなきゃ男として生きていけなくなるところだったぜ」
695九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.74 ID:OkdRfgrZ
「雪さんの夢を見るのはいいんだけど、内容が内容だからなぁ…」
696九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.78 ID:OkdRfgrZ
「那波………お帰り」
697九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.79 ID:OkdRfgrZ
「では、夢のお話ですわ。事象の連続性については、おわかりいただけました?」
698九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.81 ID:OkdRfgrZ
「それだけが取り柄だよ。ま、あのバカ兄妹のことはいいとして、そろそろ行こうか」
699九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.81 ID:OkdRfgrZ
「そう? まあ、言っても殴るだけだし、そのほうがいいとは思うけど」
700九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.83 ID:OkdRfgrZ
「ほらほら、ぼーっとしてないで窓くらい開ける。いい天気なんだから」
701九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.84 ID:OkdRfgrZ
「放課後って…和泉ちゃんは部活とかないの?」
702九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.86 ID:OkdRfgrZ
 …今まで、彼女からされてきた、どんな行為よりも、痛い。
703九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.86 ID:OkdRfgrZ
 盛りのついた犬みたいに、少女は、激しく、淫らに腰を上下させる。
704九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.90 ID:OkdRfgrZ
 生に執着する、醜い、
705九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.88 ID:OkdRfgrZ
「は? いや、ぜんぜん怒ってないよ」
706九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.89 ID:OkdRfgrZ
「ううん。それより、本当に車とか出さなくて大丈夫?」
707九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.92 ID:OkdRfgrZ
「それ、もう論外」
708九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.94 ID:OkdRfgrZ
「っ〜〜〜、っ〜〜〜」
709九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.96 ID:OkdRfgrZ
「よろしく。あの、ところで、さっきの女の子は大丈夫なの?」
710九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.95 ID:OkdRfgrZ
「…投げたりするんですもの、せっかくの贈り物が、壊れてしまいましたわ」
711九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.99 ID:OkdRfgrZ
 入院中、何度か聞かされた、記憶障害についての説明。
712九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:53.99 ID:OkdRfgrZ
 ベッドに転がり込むと、すぐ、抗いがたい眠気に襲われた。
713九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.01 ID:OkdRfgrZ
 でも、わざとらしく腕を組んできたところを見ると、半分は嘘に違いない。
714九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.01 ID:OkdRfgrZ
「うん、部活と補習が終わったら行く」
715九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.04 ID:OkdRfgrZ
“ガサガサ…”
716九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.03 ID:OkdRfgrZ
「ふふ…それは冗談としても、那波は、ときどき見ますわ、透矢さんに片思いしている夢を」
717九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.05 ID:OkdRfgrZ
 恋人と友人がいて、いつでも、友人より恋人を大切にしないと、いけないんだろうか?
718九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.07 ID:OkdRfgrZ
「素直じゃないんだから」
719九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.08 ID:OkdRfgrZ
「キスなんて、言うから」
720九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.09 ID:OkdRfgrZ
 和泉ちゃんは、少し躊躇してから僕の手を取った。
721九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.10 ID:OkdRfgrZ
 そんなこと、見当がついていないとでも思ったのか?
722九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.12 ID:OkdRfgrZ
 牧野さんに、キツネの耳と尻尾?
723九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.13 ID:OkdRfgrZ
 傷ついても、傷つくのがわかっていても花梨はそれに立ち向かった。
724九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.14 ID:OkdRfgrZ
「ナナミですわ」
725九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.15 ID:OkdRfgrZ
「旦那さま」
726九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.21 ID:OkdRfgrZ
「…まあ、そういう割り振りになるだろうね」
727九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.36 ID:OkdRfgrZ
 急激に矢をささえる、指先の力が抜け落ちた。
728 メチニス(愛知県):2010/05/05(水) 11:28:54.14 ID:0QDPdkLg
なんだここはw
729九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.38 ID:OkdRfgrZ
 和泉ちゃんは少し苦しそうな声をあげたけど、僕は力をゆるめなかった。
730九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.39 ID:OkdRfgrZ
 と、本人を見るも、相変わらず熟睡中。
731九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.41 ID:OkdRfgrZ
 彼女にとっての居場所っていうのは要するに家庭のことで…
732九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.41 ID:OkdRfgrZ
 だからこそ、マリアちゃんは、安心して甘えていられる。
733九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.53 ID:OkdRfgrZ
 いつの間に?――背後でたたずむ、小さな女の子に向けられていた。
734九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.57 ID:OkdRfgrZ
 数週間分の授業の内容を一気に取り戻すという作業は、想像しただけで頭の痛くなるものだった。
735九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.58 ID:OkdRfgrZ
 勉強そっちのけで、弓道に打ち込みすぎたか…。
736九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.59 ID:OkdRfgrZ
「ああ。おまえさ、和泉ちゃんから告白されたんだろ?」
737九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.60 ID:OkdRfgrZ
「雪さん…?」
738九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.62 ID:OkdRfgrZ
 彼女はいつも、背中越しに訴えていたんだ。
739九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.63 ID:OkdRfgrZ
「ええ。お祭りの前と後で、特に…」
740九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.65 ID:OkdRfgrZ
「なあ…もし、俺の言ったことを気にしてるなら、今から追いかけてもいいぜ?」
741九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.67 ID:OkdRfgrZ
「申しわけありませんでした。もう、大丈夫ですわ」
742九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.68 ID:OkdRfgrZ
「庄一で頼む。おまえには違和感があるかもしれないが、なに、すぐ慣れるさ」
743九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.69 ID:OkdRfgrZ
 時間の問題だったのかもしれない。
744九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.70 ID:OkdRfgrZ
「ぎゅー」
745九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.71 ID:OkdRfgrZ
「ありがとう。ええっと…まず、僕の名前は、透矢でいいのかな?」
746九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.72 ID:OkdRfgrZ
 彼女は、あのとき『旦那さま』と言っていた。
747九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.74 ID:OkdRfgrZ
 キツネだろうが妹だろうが、同じようになつかせるあたりが、なかなか恐ろしい。
748九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.78 ID:OkdRfgrZ
「?」
749九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.77 ID:OkdRfgrZ
 和泉ちゃんが、立ち上がった。
750九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.76 ID:OkdRfgrZ
 そのマリアちゃんが、わずかに身をよじらせた。
751九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.79 ID:OkdRfgrZ
「仕方ないじゃないか、そういう性格なんだから」
752九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.80 ID:OkdRfgrZ
「うるさい! マリア…」
753九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.82 ID:OkdRfgrZ
 独特の張りつめた空気。
754九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.82 ID:OkdRfgrZ
 和泉ちゃんが、立ち上がった。
755九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.83 ID:OkdRfgrZ
「今日のは、和泉が暴れるから不可抗力だよ。だけどさ、男だって、比べっこくらいはするでしょう?」
756九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.85 ID:OkdRfgrZ
 この炎天下だっていうのに、白い顔はさらに青ざめ、死人のようになっていた。
757九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.86 ID:OkdRfgrZ
 雪さんに簡単な言付けをして、僕は彼女が待つであろう、海岸へ向かった。
758九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.87 ID:OkdRfgrZ
(だけど、なぁ…)
759九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.88 ID:OkdRfgrZ
「え? あ、ぁぁ…そうかな」
760九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.89 ID:OkdRfgrZ
 思わず、身を乗り出した。
761九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.90 ID:OkdRfgrZ
 僕を死に引き込む音。
762九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.92 ID:OkdRfgrZ
 よほど怖い思いをしたんだろう。
763九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.93 ID:OkdRfgrZ
「入れるんだ?」
764九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.94 ID:OkdRfgrZ
「ならば…」
765九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:54.98 ID:OkdRfgrZ
「だね」
766九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.06 ID:OkdRfgrZ
「私は女の子だからいいの。初めてのときは、男の子がリードするものだよ」
767九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.08 ID:OkdRfgrZ
 どう断ったものかと困っていると、
768九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.10 ID:OkdRfgrZ
「那波、こんな人の言う事を聞いちゃ…」
769九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.10 ID:OkdRfgrZ
「あー」
770九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.12 ID:OkdRfgrZ
「いいけどね。きのう、何時まで起きてたの? 僕が見かけた時点で二時だったはずだよ」
771九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.14 ID:OkdRfgrZ
「透矢さん。雪も、透矢さんと一緒にいられて幸せですよ」
772九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.15 ID:OkdRfgrZ
「頭が、こんがらがってきた」
773九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.17 ID:OkdRfgrZ
 だから、きっと止められない――けど、黙っていられるほど器用でもない。
774九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.19 ID:OkdRfgrZ
 偶然なのか、彼女の視線の先には雪さんの背中があった。
775九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.20 ID:OkdRfgrZ
「明日、本番だよね」
776九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.21 ID:OkdRfgrZ
「こればっかりはどうしようもないな」
777九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.22 ID:OkdRfgrZ
 空いた手で、局部の上のほうに顔を覗かせた突起をいじり、身もだえし、それでも体をゆすり続けた。
778九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.24 ID:OkdRfgrZ
「何があったの?」
779九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.25 ID:OkdRfgrZ
「うん…いっ…いいからぁ…」
780九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.27 ID:OkdRfgrZ
「わたくしも、ご一緒させてくださいな」
781九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.28 ID:OkdRfgrZ
「おいでおいで…」
782九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.29 ID:OkdRfgrZ
「仕方ないじゃないか、思い出せないものは思い出せないんだから」
783九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.31 ID:OkdRfgrZ
 雪さんがあまり真剣な顔で話すものだから、僕もそれなりの覚悟は決めていた。
784九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.32 ID:OkdRfgrZ
「透矢ちゃん、大丈夫?」
785九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.33 ID:OkdRfgrZ
 首から下げた石をちらつかせる。
786 ヒメ(東京都):2010/05/05(水) 11:28:54.96 ID:8nFNGHZq
心にぐっと来る
787九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.35 ID:OkdRfgrZ
 よほどスピードを出しているのか、ガリガリという砂利を巻き込む音がここまで聞こえてくる。
788九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.36 ID:OkdRfgrZ
「あのあと、僕と牧野さんは転んで…転んだけど、本当に、それだけだったかな」
789九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.40 ID:OkdRfgrZ
「あっさりしてるなぁ。本当に大丈夫?」
790九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.41 ID:OkdRfgrZ
 話を聞かせると、アリスは不機嫌そうに頭を抱え込んだ。
791九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.42 ID:OkdRfgrZ
「僕、今日はやめておくよ」
792九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.44 ID:OkdRfgrZ
 でも、どうして彼女にそんな思いをさせてしまったのかわからなくて、それが、ひどくもどかしかった。
793九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.45 ID:OkdRfgrZ
「残念ながらな」
794九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.46 ID:OkdRfgrZ
 ほめられて、よっぽどうれしかったのか雪さんは鼻歌まじりにお茶を注ぎ始めた。
795九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.48 ID:OkdRfgrZ
 そこには、誰もいなかった。
796九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.49 ID:OkdRfgrZ
 家族がいて、少しの友達がいて、あとは退屈なだけの日常があって、
797九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.50 ID:OkdRfgrZ
「…絶対に外に出すなって言ったじゃないか」
798九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.55 ID:OkdRfgrZ
「よく、似合ってるよ」
799九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.56 ID:OkdRfgrZ
 取り立てて何、っていう話題があったわけでもなかったのに、楽しい時間が過ぎるのって、本当に早い。
800九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.57 ID:OkdRfgrZ
「みんな来たー。何して遊…ぶふっ!」
801九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.59 ID:OkdRfgrZ
「透矢さん、失礼します」
802九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.60 ID:OkdRfgrZ
 彼女はそれを伝うように、再び顔を近づけ、唇の表面をわずかに触れあわせると、
803九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.62 ID:OkdRfgrZ
「ちょっとマリア、どこ行ってたの? 心配するでしょう?」
804九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.64 ID:OkdRfgrZ
「はは、仕方ないよ。それで、雪さんもああいう事に興味があるの?」
805九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.66 ID:OkdRfgrZ
「いつか、どこかで」
806九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.67 ID:OkdRfgrZ
「へ、変なこと言わないで」
807九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.69 ID:OkdRfgrZ
「な!?」
808九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.71 ID:OkdRfgrZ
「ほめ言葉だぜ」
809九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.72 ID:OkdRfgrZ
「あのー、和泉ちゃん、その本なら俺も読んだんだけど」
810九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.74 ID:OkdRfgrZ
「あらあら。どうされたんです?」
811九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.75 ID:OkdRfgrZ
 どことなくぼんやりとした返事だった。
812九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.77 ID:OkdRfgrZ
 手をのばせば真っ青に染められてしまいそうな、雲ひとつない空。
813九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.78 ID:OkdRfgrZ
 彼女は覚えていないと言ったが…なぜだか、覚えている。
814九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.79 ID:OkdRfgrZ
 まさか、夢で会いましたか、とは言えないし…
815九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.81 ID:OkdRfgrZ
「お前らしいけど…こんな時くらい部活の事は忘れてもいいんじゃねーか?」
816九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.84 ID:OkdRfgrZ
「知るか!」
817九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.85 ID:OkdRfgrZ
「じゃあ、僕はそろそろ行くね」
818九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.87 ID:OkdRfgrZ
「おねーちゃん! 透矢さん、次はきっと勝てますから、頑張りましょうね」
819九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.88 ID:OkdRfgrZ
 牧野さんは、ズボンの上からでもはっきりわかるほど隆起したそれを、手の平で優しく包み込んだ。
820九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.90 ID:OkdRfgrZ
 首をかしげていると、さらに、
821九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.92 ID:OkdRfgrZ
 ママが見ていてくれる。
822九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.93 ID:OkdRfgrZ
「…いいけど、狭いよ」
823九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.94 ID:OkdRfgrZ
 ざっ――地面を蹴る音がして。
824九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.96 ID:OkdRfgrZ
「ふん、私たちは邪魔ってわけ?」
825九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.98 ID:OkdRfgrZ
 いくら目上の人間とはいえ、失礼な態度だ。
826九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:55.99 ID:OkdRfgrZ
 やっぱり、聞こえるものは気になってしまうらしい。
827九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.01 ID:OkdRfgrZ
「みんなに優しくされたら、甘えちゃう。そのために、他の人に会わないんだよ」
828九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.03 ID:OkdRfgrZ
「いない? 神主さんがいなくて、大丈夫なの?」
829九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.04 ID:OkdRfgrZ
「きのうみたいになっちゃったら、どうするつもり?」
830九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.06 ID:OkdRfgrZ
「来年だけじゃない。再来年も、その先もね」
831九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.07 ID:OkdRfgrZ
「和泉のことが心配だって、顔に書いてあるのに、なんで、そういう中途ハンパなことするの?」
832九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.09 ID:OkdRfgrZ
 だけど、話してみれば、理解できる部分もある。
833九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.12 ID:OkdRfgrZ
「子供が目を覚ますのは…お母様のヒザの上と決まっていますわ」
834九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.14 ID:OkdRfgrZ
「ぁ…は、はい!」
835九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.16 ID:OkdRfgrZ
 せっかくいつもの調子に戻ったのに、悲しそうな顔になってしまった。
836九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.18 ID:OkdRfgrZ
 和泉ちゃんがいなきゃ…
837九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.19 ID:OkdRfgrZ
「和泉、今日はやめとく?」
838九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.23 ID:OkdRfgrZ
「ふふ。今だから白状しますけど、雪、病気の時は、よくタヌキ寝入りをしていたんです」
839九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.21 ID:OkdRfgrZ
 そして、腰に手を当て、恨みがましいような眼でこちらを見上げたかと思うと、
840九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.25 ID:OkdRfgrZ
「ねえ、どうして、こんなところに住んでいるの?」
841九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.26 ID:OkdRfgrZ
「なんでもない」
842九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.28 ID:OkdRfgrZ
「はいはいマリアちゃん、ケダモノからは離れましょうねー」
843九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.29 ID:OkdRfgrZ
「本当に、ごめんね…」
844九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.31 ID:OkdRfgrZ
「そう思ったら最後にひと仕事だ。全員、座れ!」
845九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.33 ID:OkdRfgrZ
 一年以上の間、彼女が、僕を待っていた場所。
846九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.34 ID:OkdRfgrZ
 ぽたりと、床に血が落ちるのを見て、雪さんはようやく我に返ったようだ。
847九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.37 ID:OkdRfgrZ
 そして、別れた場所。
848九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.38 ID:OkdRfgrZ
“ドクンッドクンッドクンッ…”
849九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.40 ID:OkdRfgrZ
 今まで、見たことがない態度だ…どうしたんだろう?
850九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.41 ID:OkdRfgrZ
「僕が行って、なにかできることある?」
851九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.44 ID:OkdRfgrZ
「言い訳はマリアちゃんのお背中でも流しながら聞かせていただきましょう」
852九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.46 ID:OkdRfgrZ
「言わないでください…もちろん、透矢さんのお望みでしたら、また、してさしあげますけど…」
853九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.47 ID:OkdRfgrZ
「ふふ、どうされましたの」
854九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.48 ID:OkdRfgrZ
「ご奉仕、ですよ」
855九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.51 ID:OkdRfgrZ
 僕は、見よう見マネで一礼して、場内に足をふみ入れた。
856九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.53 ID:OkdRfgrZ
 少し興奮気味だったのかもしれない。
857九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.54 ID:OkdRfgrZ
 なんてことを考えたりもした。
858九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:28:56.56 ID:OkdRfgrZ
「23456789012345678」
859 デバスズメダイ(大阪府):2010/05/05(水) 11:28:57.22 ID:StxawkP5
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
860 ミズウオ(兵庫県):2010/05/05(水) 11:28:57.70 ID:SGxAMusW
ニコ厨消えろ
861 シルベーヘイク(神奈川県):2010/05/05(水) 11:28:58.09 ID:OjtW7OL0
さすが水樹さんやで
862 アカタチ(愛知県):2010/05/05(水) 11:28:59.96 ID:PrQrq+DW
うんこ
863 マダラタルミ(中部地方):2010/05/05(水) 11:29:00.75 ID:+uEG9F8B
       ヽ、,jトttツf( ノ
      \、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
   =、..,,,ニ;ヲ_     ヾ彡r''"^ -=
    ``ミミ,   i'⌒!   ミミ=-  イ  ̄   ン -ー' ̄ 二 、
   = -三t   f゙'ー'l   ,三``'' /   メ   、   /    ` 、
     ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ''  イ !   / /  i / / !       !
     / ^'''7  ├''ヾ!   ノ 〈 / / /!  ハ ノ ハ     !
    /    l   ト、 \    l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z  !     !
     〃ミ ,r''f!  l! ヽ.    ーr'´ニェ 、   ,  _ェォ=、  く    /
   ノ ,   ,イ,: l! , ,j! ., ト、    i \   / ̄} イ  ̄ }ー !   /
    / ィ,/ :'     ':. l ヽ. 、  !    ̄ ノ   ゝ - イ   Yヽ
   / :: ,ll         ゙': ゙i,ヽ  !    い メ ′         /
  /  /ll         '゙ ! \ !   ィ=== 、       Λイ
    /' ヽ.          リ    !  ムエエエ九ヽ     /
   /  ヽ        /    l  ` ー一  `  //
   /  r'゙i!     .,_, /   /i > _    _ イ Λ
  /.     l!       イ -‐./:.:.:.:l!     ̄     /:.:.i、
  /   ,:ィ!        ト、:.:/:.:.:.:.:.l         /:.:.:.:.l`:.:ー 、
  ,r''"´~ヾ=―――=''′`ゝ:.:.:.::.:ゝ       /:.:.:.:.:.:ゝ:.:.:.:.:.`.:.-
864 フウライチョウチョウウオ(茨城県):2010/05/05(水) 11:29:02.73 ID:SIVdploD
キタ─wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─!!
865 アオメエソ(dion軍):2010/05/05(水) 11:29:03.60 ID:7a/STtpp
チュルパヤのほうが良かった
866 アオメエソ(関西地方):2010/05/05(水) 11:29:04.87 ID:tDj9K9A7
演歌すなあ
867 アオザメ:2010/05/05(水) 11:29:06.55 ID:9pXT8kFF
なのは劇場版にしておけよな
868 メルルーサ(福井県):2010/05/05(水) 11:29:07.54 ID:MYYF+Ml9
神曲きyたあああああああああああああああああああああああああ
869 オニオコゼ(岐阜県):2010/05/05(水) 11:29:07.97 ID:0Grya1KD
なんだよこのスレ
870 アメマス(石川県):2010/05/05(水) 11:29:08.43 ID:eUVwd7we
だっせぇなバカ運営www
871 レッドテールキャットフィッシュ(愛知県):2010/05/05(水) 11:29:08.93 ID:SviolY5h
うひょおおお
872 コショウダイ(東京都):2010/05/05(水) 11:29:09.01 ID:XjIu9tZH
ホワルバはEDの方がいいよ!!!ED流して!!!
873 タイガーショベルノーズキャットフィッシュ(宮城県):2010/05/05(水) 11:29:11.08 ID:eMlyFxj3
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
874 アイスポットシクリッド(群馬県):2010/05/05(水) 11:29:11.45 ID:/X0/9RcG
ついに勢い10万超え来たか
875 ホタルジャコ(埼玉県):2010/05/05(水) 11:29:19.38 ID:f6ef9OUY
もう、FOXクビでよくね?w
876 イシガキダイ(大阪府):2010/05/05(水) 11:29:22.17 ID:9885b++u
まんまん!ちんちん!
877 アオメエソ(コネチカット州):2010/05/05(水) 11:29:24.47 ID:MTOkQec+
ファッキンビーバー
878九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.70 ID:E4WJrJFH
 涙石はある、弓も、梓弓とは言わないけれど…。
879九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.71 ID:E4WJrJFH
 二人もわかっているのか、僕の言うことを素直に聞いてくれた。
880九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.72 ID:E4WJrJFH
「そんなこと言ってたら、終わんなくなっちゃうよ?」
881九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.76 ID:E4WJrJFH
「良かった。病院のほうが寝心地が良かったなんて言われたらどうしようって思っていたんですよ」
882九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.78 ID:E4WJrJFH
「うるさい! わかった?」
883九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.77 ID:E4WJrJFH
「こんなにたくさん降っているのに…ひとつひとつ、命を持っているんですね。なんだか不思議です」
884九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.80 ID:E4WJrJFH
「…ハイキングハイキングって言ってたくせに」
885九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.80 ID:E4WJrJFH
 僕だって、記憶喪失や夢っていう恐怖から逃れるために、いろいろな人に甘えている。
886九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.04 ID:E4WJrJFH
 見とれていると、彼女はひとり遊びをする子犬みたいに、むやみやたらと水しぶきを上げ始めた。
887九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.81 ID:E4WJrJFH
「んんんー……んぅっ!」
888九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.84 ID:E4WJrJFH
「…ちょっと、良かった」
889九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.83 ID:E4WJrJFH
「ぼ、僕?」
890九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.09 ID:E4WJrJFH
 ずいぶん、不安になっているようだ。
891九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.86 ID:E4WJrJFH
「私も似たようなもんだから。和泉には、あとで謝っておくよ。気にしないで」
892九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.89 ID:E4WJrJFH
「あー、ミカン飴ね」
893九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.12 ID:E4WJrJFH
「だ、だから、花梨ちゃんの舞はすごいと思うけど、やっぱり心配だから」
894九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.13 ID:E4WJrJFH
 そして、その生まれが雪さんを苦しめることになって、僕は彼女を守らなくちゃいけない。
895九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.12 ID:E4WJrJFH
「和泉ちゃん、大丈夫なのかな?」
896九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.12 ID:E4WJrJFH
「僕が、きれいにするよ」
897九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.12 ID:E4WJrJFH
「撫でて、いただけませんか?」
898九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.16 ID:E4WJrJFH
 雪さんは、すねた目を僕に向けた。
899九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.14 ID:E4WJrJFH
「そうでもないよ」
900九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.20 ID:E4WJrJFH
「ちがうよ…っく…透矢だから…っ…がまんできるって…だからぁ…」
901九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.18 ID:E4WJrJFH
 視線のようなものを感じて、ふと裏山のほうに目をやると、さっきのキツネらしき影が見えた。
902九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.15 ID:E4WJrJFH
「駄目だよ、危ないから」
903九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.18 ID:E4WJrJFH
 やっぱり、マリアちゃんの言っていた事は本当なんだろうか?
904九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.18 ID:E4WJrJFH
「だったら、せめて私の家に来れば? いちおうデートだし」
905九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.23 ID:E4WJrJFH
「一日は二十四時間、一時間は六十分…」
906九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.23 ID:E4WJrJFH
「花梨だってそうだよ。まさか花梨がそんな…」
907九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.23 ID:E4WJrJFH
「いけません。これも、雪の仕事のうちなんですから」
908九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.25 ID:E4WJrJFH
 じゃあ、僕はどうして大丈夫だったんだろう?
909九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.25 ID:E4WJrJFH
「しかし、なんできれいどころに限って、おまえなんだろう…」
910九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.26 ID:E4WJrJFH
 大丈夫、だよ――
911九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.28 ID:E4WJrJFH
「ごめん。でも…」
912九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.28 ID:E4WJrJFH
「はい、宮代ですけど」
913九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.30 ID:E4WJrJFH
「汚いって何が?」
914九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.74 ID:E4WJrJFH
「透矢……んだ…」
915九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.73 ID:E4WJrJFH
 知らないんだから!――と、そっぽを向かれてしまった。
916九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.29 ID:E4WJrJFH
 彼女が、僕を待つ場所――
917九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.75 ID:E4WJrJFH
「あ…ううん」
918九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.32 ID:E4WJrJFH
 そうして不意に抱き合ってしまう、こんな日常。
919九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.31 ID:E4WJrJFH
 一緒になってマリアちゃんを探したあの日から、アリスの僕に対する態度は明らかに変化していた。
920九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.82 ID:E4WJrJFH
「あらあら、眠そうなお顔をされていますね」
921九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.79 ID:E4WJrJFH
「…ここに、いさせてよ。マリアもいなくなっちゃったし…私には、ここしかないんだから」
922九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.87 ID:E4WJrJFH
「…うれしいです」
923九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:24.88 ID:E4WJrJFH
「ぜ、ぜったい嘘。そんなに怖いの?」
924九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.36 ID:E4WJrJFH
「あのぅ、花梨さんって、透矢さんとおつき合いしているんですか?」
925九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.44 ID:E4WJrJFH
 名前は、一つしかなかった。
926九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.52 ID:E4WJrJFH
「ぅ、ぁ…いや、なんでもないですよ…」
927九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.52 ID:E4WJrJFH
 わかっている…
928九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.52 ID:E4WJrJFH
「そうでもないよ」
929九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.52 ID:E4WJrJFH
 香坂姉妹の勘は、良く当たる。
930九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.52 ID:E4WJrJFH
「ごめん。急に座り込んだりするから、気になって」
931九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.53 ID:E4WJrJFH
「…自分でも忘れてたの?」
932九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.53 ID:E4WJrJFH
 僕は腰を動かし始めた。
933九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.55 ID:E4WJrJFH
「冗談よ。これ以上の収穫はなさそうだし行きましょう。マリアが待ってる」
934九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.55 ID:E4WJrJFH
 その夜、彼女に連れ出され海岸を歩いていると、
935九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.53 ID:E4WJrJFH
「そうでもないよ」
936九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.58 ID:E4WJrJFH
「透矢さっ…だ、めぇ…」
937九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.58 ID:E4WJrJFH
「っとと…追いついたら、キミの馬鹿につき合ってあげるー! 何がいい?」
938九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.65 ID:E4WJrJFH
「道祖神、だよね。外から疫病とかが入るのを防いでくれるっていう」
939九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.65 ID:E4WJrJFH
 当然、和泉ちゃんじゃなかった。
940九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.65 ID:E4WJrJFH
「透矢、私、あっちで待ってるね」
941九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.65 ID:E4WJrJFH
 そして、それをぎゅっと束ねるようにつかむと、うっとりした表情で、
942九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.65 ID:E4WJrJFH
「ちょっと、知り合いなの?」
943九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.65 ID:E4WJrJFH
 このまま彼女のこと、好きになれるのかな?
944九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.67 ID:E4WJrJFH
 あの生々しさ――僕は、誰かとああいう行為に及んだことがあるとしか思えない。
945九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.68 ID:E4WJrJFH
「んー」
946九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.82 ID:E4WJrJFH
 大人げないけど、何でも言うことを聞くなんて、たまったもんじゃない。
947九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.84 ID:E4WJrJFH
 もし、僕が彼女のことが好きで、夢に出てきてるのも彼女なら、夢の半分には、納得がいく。
948九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.88 ID:E4WJrJFH
 電話を終えると、ちょうど良く雪さんが戻ってきた。
949九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.89 ID:E4WJrJFH
 たまらず、僕は舞台へかけ上がった。
950九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.90 ID:E4WJrJFH
 和泉ちゃんが、ぽんと手を打った。
951九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.91 ID:E4WJrJFH
 口を開いたまま、アリスが固まった。
952九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.92 ID:E4WJrJFH
「雪さんが一緒で良かったよ」
953九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.93 ID:E4WJrJFH
「花梨が、僕と?」
954九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.93 ID:E4WJrJFH
「最近さ、誰かに見られてるような気がするって言ったでしょう? あれ、あの人の視線だったみたい」
955九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.97 ID:E4WJrJFH
 僕は彼女に歩み寄ると、肩に手をかけもういちど口づけをした。
956九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.97 ID:E4WJrJFH
「うん…ううん、駄目。どっちも僕のだ」
957九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.97 ID:E4WJrJFH
「もう…キミ、ちょっと意地悪だよ」
958九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.95 ID:E4WJrJFH
 そして、意識は闇の中へ…。
959九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.98 ID:E4WJrJFH
 ただ、捨て置かれ、見放された場所。
960九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.00 ID:E4WJrJFH
 どうしてなんだろう?
961九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.00 ID:E4WJrJFH
 僕は後ろから彼女を抱きしめるようにしスパッツの中に手を差し込んだ。
962九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.02 ID:E4WJrJFH
「あーん」
963九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.02 ID:E4WJrJFH
「くぉの…」
964九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.04 ID:E4WJrJFH
 波が引くように音が消え、意識が体から切り離される。
965九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.04 ID:E4WJrJFH
 あのとき、雪さんがほっぺたにキスをしてくれたんだ。
966九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.09 ID:E4WJrJFH
「ぁ…うん」
967九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.10 ID:E4WJrJFH
「! や、やめなよ、花梨」
968九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.11 ID:E4WJrJFH
「私も見てたけど、誰も…」
969九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.10 ID:E4WJrJFH
「借りたものを返しただけ。さっ、用が済んだら帰って帰って」
970九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.10 ID:E4WJrJFH
「あのね」
971九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.13 ID:E4WJrJFH
「あのとき…急いで抱いてもらおうとしたのは、自分の気持ちを証明したかったからなのかもしれない」
972九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.15 ID:E4WJrJFH
 自分が落ち込んでいる時に、人の元気な声を聞いた場合、二種類の反応があるように思う。
973九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.15 ID:E4WJrJFH
「でも、雪さん、自分でしてるとき、すごく気持ち良さそうだった」
974九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.15 ID:E4WJrJFH
「お願いします。思い出に…したいんですの」
975九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:25.14 ID:E4WJrJFH
「ふーん。ねえねえ、ホントにぜんぜん覚えてないものなの?」
976九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.23 ID:E4WJrJFH
「精神的なものみたいだ。怖いんだよ、どうしても」
977九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.25 ID:E4WJrJFH
「和泉ちゃん、走ると転…」
978九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.25 ID:E4WJrJFH
「キミは!」
979九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.27 ID:E4WJrJFH
 この状況で、彼女が僕に嘘をつく意味がない。
980九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.28 ID:E4WJrJFH
 そろそろ後かたづけを、という雪さんを残して、僕は部屋へ引っ込むことにした。
981九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.29 ID:E4WJrJFH
「…あったかいし、嫌いじゃない」
982九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.31 ID:E4WJrJFH
「こんにちは…」
983九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.31 ID:E4WJrJFH
「人に慣らされたキツネは、逆に人の世界で生きていく力を失ってしまう――そういうことだね」
984九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.33 ID:E4WJrJFH
「お姫様が目を覚ますために、王子様がすることって、ひとつしかないよ」
985九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.34 ID:E4WJrJFH
 舞台の裏手に走る。
986九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.35 ID:E4WJrJFH
 花梨が和泉ちゃんの胸の辺りを触っているのが見えた。
987 スリースポットグラミー:2010/05/05(水) 11:29:26.12 ID:VVvkiYcx
なんで紅白あんなに下手糞だったの?ねえ奈々オタ教えてよ
988九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.36 ID:E4WJrJFH
 明日っていうのは、そんな日常。
989九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.37 ID:E4WJrJFH
「なんだって?」
990九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.39 ID:E4WJrJFH
 もしかしたら、ここが病院だっていう話は、嘘なのかもしれない。
991九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.40 ID:E4WJrJFH
『おねがい…マリアを助けて…』
992九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.41 ID:E4WJrJFH
 ゆらゆらと像を失い、不確かになっていく、確かだったモノたち。
993九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.43 ID:E4WJrJFH
 でも、苦しんでいるのは、僕だけじゃなかった。
994九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.43 ID:E4WJrJFH
「…気持ちいい?」
995九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.45 ID:E4WJrJFH
 あの場では、夢が覚める覚めないより、女の子を射抜くという結末に対する恐怖が先に立っていた。
996九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.45 ID:E4WJrJFH
 漠然とした不安みたいなものを感じながら、僕はひとり、家路についた。
997九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.46 ID:E4WJrJFH
「誰が、あんたみたいなひねくれ者をつかまえて、可愛いなんて言いますか」
998九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.49 ID:E4WJrJFH
「これよ、これ」
999九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.48 ID:E4WJrJFH
 安堵の声を上げたのは、さっきの子とは対照的、いかにもおとなしげな女の子だった。
1000九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI :2010/05/05(水) 11:29:26.49 ID:E4WJrJFH
 くすくす、意地悪げな笑い。
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もう書けないので、新しい職を探して下さい。。。

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