米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、滝野欣弥(きんや)官房副長官が
移設候補地の鹿児島県・徳之島の3町長にかけた電話は、鳩山由紀夫首相の事前の
了解を得ていなかった。
指示をしたのは平野博文官房長官。政権の命運をかける課題の成否を握る地元の説得
なのに、首相周辺の意思統一さえできていない。政権の迷走ぶりは末期的だ。
「心を一つにして頑張ろうと誓い合っている」
21日の党首討論で、鳩山首相は、普天間問題に関係閣僚が一枚岩で取り組んでいると強調した。
しかし内実は違う。20日夜、事務担当の滝野官房副長官が徳之島の3町長に対し、平野氏との
会談を電話で申し入れた件について記者団に問われた際、首相は「どのような思いで滝野副長官が
電話したか分からない。副長官に聞いてほしい」と素っ気なかった。「沖縄県外への普天間移設」に
こだわる首相だが、この日の徳之島への打診について事前に知らされていなかったという。
3町長への打診は、平野氏が滝野氏に指示し、ひそかに進めていた。首相官邸の高官の一人は
「(徳之島との接触は)報道で知った」と語ったほどだ。
だが、滝野氏からの接触については徳之島側がすぐさま記者団に発表し、あっさりと明るみに出た。
大久保明・伊仙町長は「(18日に徳之島で開かれた反対集会が)島民の決定的な民意。
覆ることはない」と述べ、申し入れを拒否したことを明らかにした。
電話が暴露されてしまったことを受けて、平野氏は20日夕、滝野氏に「(徳之島側に)話したことを
記者に説明するように」と指示。滝野氏は記者団に「首相には、(徳之島の首長に)電話をした後に
報告した」と、首相へは事後報告だったことを説明した。平野氏は21日の記者会見で、「18日の
島民集会の状況について聞かせて頂きたいというのが(電話の)趣旨。いちいち首相にあげるテーマ
ではない」と、首相と調整していなかった理由を説明した。
http://www.asahi.com/politics/update/0422/TKY201004220001.html