学校図書館を管理する学校司書が市内の全小中学校に配置されている狛江市では、この
十年で本の貸出数が約二倍に増えた。市の中央図書館と各学校との間に蔵書検索ネット
ワークを構築。蔵書の融通で無駄を省いており、先進例として注目を集めている。 (高橋知子)
同市が市内六小学校、四中学校の学校図書館に一人ずつ司書を配置したのは十年前。
本の専門家を配置したことで図書館の活用率が飛躍的に高まった。
市内の小学校六校平均で二〇〇〇年度に一人当たり二十五冊だった貸出数は、〇九年度は
五十二冊に。中学校でも同時期比で一人当たりの貸出数が四冊から九冊になった。本を読む
子が確実に増えている。
狛江第三小学校司書の丸山英子さん(49)は「この十年で、子どもたちの読む本の内容、
レベルは格段に上がった」という。
丸山さんが着任したころ、図書館に来てもどの本を読んだらいいか分からず、ウロウロするだけで
終わる子の姿が目立った。まず始めたのは本の読み聞かせ。本に関心を持ったところで、
読んでほしい本について紹介を始めた。今では「何か面白い本ない?」と、子どもたちから当たり前に
質問が出る。
丸山さんは「本と図書館という場所に加え、人が必要。図書館に行けば司書がいる環境は大きい
と思う。いろんな話をする中で、子どもの好みも分かり、興味ある分野の本を紹介できる」と話す。
蔵書検索ネットワークで結ばれるなど連携も深くなった。調べ学習に必要な図鑑などを各校分担で
購入し、クラスの人数分を確保。年間利用予定を決め、順番に回して使う。「蔵書の無駄を省き、
かつ、一人に一冊図鑑が行き渡って指導できるのは狛江ならではだと思う」と丸山さん。
他自治体や司書らも、同市に学ぼうと視察に訪れる。同市学校教育課の上田智弘課長は「図書
活用率の向上は、司書一人一人の努力に負うところが大きい。さらに良い形で発展させたい」と話
している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20100419/CK2010041902000057.html