うどんのゆで汁など、でんぷんで濁った排水を植物など天然素材を使って浄化する技術を、
神戸市長田区のベンチャー企業「八紀(はっき)産業」が開発した。従来技術に比べてコスト、
時間ともに大幅に短縮できるのが特徴。讃岐うどんの本場・香川県ではブームの陰で、ゆで
汁の排水による水質汚染が顕在化。浄化力向上やさらなるコストダウンを目指し、大学や大
手企業と共同研究を進めている。(広岡磨璃)
でんぷんを含む排水は栄養価が高く、そのまま放流すると赤潮などを引き起こす。うどんツアー
などブームの半面、地元では店舗からの排水が問題視され、香川県では昨年3月、水質改善に
向けて条例を改正し、一定規模のうどん店も規制の対象にした。ただ、既存の微生物による
処理技術では1日以上を費やし、設備も数百万円かかることから、小規模業者への導入が課題となっている。
同社は5年の実験を重ね、液体中のでんぷんを吸着する物質としてアオイ科トロロアオイ属の
植物を見つけた。海藻由来の化石や、一般の上下水処理で使われている化学物質を組み合わ
せ、凝集分離剤「FROG(フロッグ)」を開発した。
排水1立方メートルに対し0・5〜1キロを混ぜ、水と固形物に分離する。5〜10分程度で浄化でき、
でんぷんの除去率は90%と、ほかの技術よりも高い。実験では100%を達成した。定価は現在
、1キロ3千円だが、同社は「量産化し、数百円程度にしたい」という。
昨年10月に特許を取得し、香川大の研究者のほか、食品分野以外での利用を探るため、
製紙や製油などの大手企業とも共同研究。浄化過程で出る固形物についても、バイオ燃料や肥
料としての活用方法を研究していく。福井紀美江社長(44)は「さまざまな可能性を秘めた技術だが、
まずはうどんのゆで汁の排水に悩むお店の力になりたい」と話している。
八紀産業TEL078・6**ー****
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0002881482.shtml