教育学者のローレンス・J・ピーターは、「なぜ、組織には無能な上司が多いのか」をテーマとした画期的な研究を1969年に発表しました。
結論をとてもシンプルにまとめると、「人は能力の限界まで出世し、無能レベルに達すると出世が止まるため、大多数の上司は無能な上司なのである」ということになります。
結果、ほとんどの組織で、中間管理職やその上司、社長にいたるまで、無能な上司の方が一般的で、
無能レベルに達していない少数派の平社員と、まだ上り調子の中間管理職によって運営されていることになります。
この「無能仮説」は、みなさんの経験にもピタっと折り合うのではないでしょうか?
そして、このピーターの法則で、実はいまの日本の停滞も説明できるのです。
なぜならいま、人口成長がマイナスに転じており、人口ピラミッドが日本全体でも、あるいは組織内においても崩れています。
無能レベルに達した上司たちがピラミッドの上層に厚く存在し、その下に、元気な新入社員がほとんど入ってこない状況で、いったい誰が仕事をしているのでしょうか?
ピーターは、無能上司を減らすために、「昇給はしても、むやみやたらに昇格はさせない」などの方法を推奨します。
もちろん、あるポジションでは実力を発揮できなかったけれども、その上に行ったとき、実力を発揮できるようになる人はゼロではありません。
でも、少数派です。身近な例ですと、私たちが簡単にイメージできるリーダーは政治家です。野党のときはとても評判がよかったのに、
国民の支持を受けて首相や大臣になったら、無能レベルに達して、内閣支持率が急落してしまった人たちを簡単に想像できるのではないでしょうか?
無能上司は、自分の存在意義を示そうとして、部下の仕事の批判やあら探しが増えるため、部下が疲弊してしまいます。
私も、あら探し型か提案型かで、無能上司とそうでない上司を見分ける方法を学んできました。
残念ながら、「ピーターの法則」通りの上司の下で働くことになった場合には、自ら強力なフォロワーシップを発揮して気の毒な上司を助けるよう、考え方を変えてみてください。
http://www.asahi.com/business/topics/katsuma/TKY201004110098.html