欧米諸国の飲食店やビール会社は全面禁煙で売り上げが減少
すでに全面禁煙が実施されている海外では、飲食店の売り上げが実際に減少している。
イギリスでは、2007年7月から屋内全面禁煙が実施された。それにともない、飲食店は多額のリノベーション費用を負担した。
そこまでのコストをかけたにもかかわらず、全面禁煙の結果、パブの売り上げは7.3%も減少している。
とくに、屋外の飲食スペースをつくるだけの余裕がないパブは打撃を受けた。5000軒のパブが廃業に追い込まれるおそれもある。
このほかにも、全面禁煙実施によって、アメリカ・カリフォルニア州の267都市にあるレストランでは、売り上げが4%減少した。
ドイツのホテルレストランでは、15%の店で売り上げが半減。フィンランドでも、パブやレストランでの売り上げが3分の1減少し、15%のレストランで雇用が減らされた。
アイルランドでは、2004年1月に屋内喫煙の全面禁止を施行した。
その結果、アイルランドのパブライセンスの交付総数は、2004年の9964件から、2005年には9237件、2006年には8800件と、減少を続けている。
パブライセンスが減ったということは、営業しているパブの数が減ったということである。
また、アイルランドでの全面禁煙は、ビールの売り上げにも影響した。
喫煙する客が自宅でお酒を飲むようになったためだ。飲食店で飲むよりも、自宅で飲む方が酒量は減る。あるビール会社は、5%もビール販売量が低下した。
たばこ税の税収減は地方自治体の財政に大きな影響を与える
海外で全面禁煙による弊害がすでに出ていることをふまえて、検討会では一律的な全面禁煙ではなく、分煙による現実的な対応をとっている。
4月から施行される神奈川県の受動喫煙防止条例でも、小規模飲食店の禁煙・分煙は努力義務に緩和された。
僕のオフィスの近所を見ても、ランチの時間帯は喫煙可能な飲食店の方が繁盛している。会社で吸える機会が減っているから、ランチくらいは飲食店でゆっくり吸いたい人が多いのだ。
全面禁煙は、飲食店にとって死活問題となる。
一方で、全面禁煙は、たばこ税の税収減をもたらすおそれもある。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100323/217044/?P=3 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100323/217044/?P=4