2011年7月24日にアナログ放送が終了する日まで、あと500日を切った。しかし地上デジタル受信機の
普及台数は、今年2月現在で約7000万台(NHK調べ)。全国に1億3000万台以上あるといわれるテレビの
半分強だ。世帯ベースの普及率では、70%前後と推定され、あと500日足らずで残る1500万世帯をすべて
「地デジ化」することは不可能である。
通信衛星ならもっと多くのチャンネルが空いているので、地デジと同じデジタルハイビジョンで放送できる。
スクランブルなどをかけないで、全国どこでも見えるようにすれば、年間ほとんど数億円でデジタル放送が
できてしまう。
衛星によるデジタル化は、技術的に合理的であるがゆえに、政治的には不可能である。衛星で全国を
カバーすれば、在京キー局の番組を垂れ流して「電波料」をもらっている地方民放局のビジネスが
成り立たなくなるからだ。民放連に加盟している127社のうち、100社以上が地方局だから、彼らの意見は
圧倒的に強い。売り上げでは東名阪の20局で7割以上を占めるのだが、国連で小国の意見が
通りやすいのと同じだ。
日本では、今のペースでいくと来年7月の段階で少なくとも500万世帯以上の家庭で突然、テレビが消え、
パニックになるだろう。それに対して100億円以上の税金を投入してチューナーを配る計画も進められているが、
これと衛星放送は重複している。最初からデジタル化は衛星でやればよかったのである。
http://ascii.jp/elem/000/000/508/508367/