建設業の日成ビルド工業(金沢市)は4月から、
機械式立体駐車場に使う鋼板部品「パレット」を、中国・上海の企業から調達する。
6〜7年ほど前に輸入を試みた時は品質に難があったが、
数年前から日本製と遜色(そんしょく)がないほどに向上。コスト抑制を目的に踏み切った。
別の部品も中国製にシフトしていく考えだ。(大島康介)
「前の時は早すぎた。今は、まさにそのタイミングが来たのかなと思っている」。日成ビルドの谷田信執行役員は確信を語る。
六〜七年前の切り替えでは、試作段階で合格レベルにあった品質が、
現地企業の不十分な工程管理のためにだんだんと悪化した。表面のメッキ加工にムラがあり、形がゆがんでいることもあった。
その失敗もあり、今回は時間を置いて二度にわたり試作品を送らせ、現地の工程管理も確認した。
谷田氏は「海外との取引が増えた中国企業は、品質に対する姿勢が以前と格段の差がある」と話す。
輸入するパレットは、機械式のタワー型立体駐車場で車体を乗せる主要部品。
日成ビルドはこれまで国内企業に外注しており、調達費は年間二億円ほどかかっていたが、
中国製にすることでコストを二〜三割抑えることが可能になる。
輸入に切り替えるのは、国内市場の価格競争がある。機械式立体駐車場のメーカーとしては国内四〜五番手の同社は、
大手に対抗するため、部品を安く調達することが不可欠。国内で競争するために輸入は避けられない流れだった。
今回の取引先は、以前から立体駐車場の技術を供与してきた「上海天地島川停車設備製造有限公司」。
中国沿岸部では平面から多段式に切り替える駐車場が増えており、
同社は金属加工機械や大型のメッキ槽に最新のものを導入している。鋼材価格や為替の影響を受ける可能性もあるが、
今後十年間は日本製と比べてコストを抑えられる見通しだ。
2010年3月22日
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/asia/news/CK2010032202000183.html