J1復帰天国へ報告したい VF甲府ホーム初戦 名物サポーター・甲斐の前田さん開幕前に急死
妻と息子、遺影持参し応援
13日行われたサッカーJリーグ2部(J2)ヴァンフォーレ甲府(VF甲府)の今季ホーム初戦。小瀬陸上競技場には1万2千人を超すサポーターが
詰め掛け、大声援を送った。その中に、チームが低迷を続けた10年以上前からスタジアムを訪れて声援を送り続け、開幕前に急死した名物
サポーターの家族の姿があった。「父は今シーズンも観戦するのを楽しみにしていた」と、遺影を持参して試合を見つめた息子。昨季勝ち点1差
で逃したJ1復帰に向け、亡き父の熱い思いをピッチ上の選手に届けた。
名物サポーターとして知られていたのは、甲斐市の前田幸昭さん(享年67歳)。
「入場門の先頭にいつも並んでいた姿が印象に残っている」(ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブの輿水順雄常務)と話すほど、サポーターやクラブ
関係者の間では有名な存在だった。
J2で下位に低迷していたころから小瀬に足しげく通い、J1昇格、J2降格とVF甲府を見続けた。J1再昇格を逃した昨シーズンのホーム最終戦も
観戦。「かなり悔しがっていた」と、息子の幸司さん(38)は振り返る。
持病があったわけではなかったが、2月17日に体調が急変。3月の開幕を待つことなく、翌日そのまま帰らぬ人となった。
亡くなった後には、「これまで熱心に応援し続けてくれた感謝の気持ちを込めた」(輿水常務)と、全選手のサイン入り練習着が家族に贈られた。
「普段は気さくで誰とでもすぐに打ち解ける性格だった」と妻の恵子さん。スタジアムで仲良くなったサポーター仲間と開門前にお茶や、時には、
お酒を酌み交わしながら、世間話やVF談議に盛り上がり、「前田さん、前田さん」と慕われていた。(中略)
「次こそは攻撃的なサッカーで勝利してほしい」と幸司さん。「私たち家族にとってないと困るもの。それがVF甲府。今年こそはJ1に昇格してほしい」
と、天国の父が楽しみにしていたJ1復帰を願う。
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2010/03/14/1.html 依頼841