うどんの「こし」は塩がミソのわけは… 京大がなぞ解明
パンやうどんの生地に「こし」を出すのに、なぜ食塩が欠かせないの?――。
そのなぞを京都大農学部の裏出令子准教授らが解明した。食塩は塩化ナトリウム、
つまり「塩素」と「ナトリウム」でできているが、その「塩素」に秘密があった。米国の食品化学専門誌に発表した。
パンやうどんの生地の原料となる小麦粉には、グリアジンとグルテニンというたんぱく質が含まれ、
こねるとこの二つが結びつきグルテンというたんぱく質ができる。このグルテンが生地の弾力や粘り強さを支えている。
こねるとき、食塩がなくて水だけだと生地は「こし」が弱く、きれいに形を整えるのが難しい。
裏出さんらは、食塩を加えていないパン生地と加えたパン生地の違いを調べた。
その結果、食塩を加えた生地では、本来は水に溶けないとされるグリアジンが溶けるものに変わっていた。
グリアジンの構造が変化することでグルテニンとの結びつきが増し、「こし」が強く出るらしい。
これらの作用は、食塩のナトリウムをカリウムに変えた「塩化カリウム」を代わりに加えた場合でもあまり変わらなかった。
逆に、塩素を酢酸に変えた「酢酸ナトリウム」を使うと大きく変化した。
食塩でなくても塩素を含む物質を使えば、「こし」を出せる可能性があるとわかった。
裏出さんは「味の問題もあるが、食塩を別のものに変えることで、減塩パン作りにつなげられるのではないか」としている。(鍛治信太郎)
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201003060039.html