「ひきこもり」がイタリアで急増 世界が日本に追いついてきたな
「バンボッチョーニ」というイタリア語をご存じだろうか。おそらく、辞書を引いても載っていないはずだ。
「大きなおしゃぶり坊や」といった意味の造語で、両親と同居している青年たちを指す。日本で言えば「パラサイト・シングル」
にほぼ該当する。
こんな言葉がはやるのも、イタリアではこうした若者が急速に増えているからだ。今やイタリアでは、親元で暮らす20〜30代
の若者の割合が70%を超えつつあるという(1月18日付 La Repubblica紙)。
これは大変な数字である。親と同居する青年は、これまで日本と韓国のみが7割程度と、国際的に見ても突出して高かった。
しかしいまやイタリア青年の同居率は、日韓に肩を並べるほどの水準に至っている。
こうした現象は、全世界的に広がりつつあるらしい。同様の若者を指す言葉が、先進諸国で知られているからだ。
(中略)
EU(ヨーロッパ連合)諸国の中で、私のもとに寄せられるひきこもり相談のメールは、そのほとんどがイタリアからのものだ。
イタリアの精神科医たちも、ひきこもり問題に高い関心を寄せているらしい。どうやら日本、韓国に続いて、いまやイタリアまでもが
「ひきこもりの国」の仲間入りをしそうな勢いなのである。
どんな社会の若者にも「不適応」は起こりうる。ただ社会・文化的背景によって、不適応の形が異なるだけだ。個人の自立に高い
価値をおく社会では若年ホームレスが増え、自立より家族主義が優位な社会ではひきこもりやニートが増える。これは個人や社会の
病理を超えた、構造的な問題なのである。
最後に、柄にもなく予言めいたことを述べておこう。先進諸国で起きつつある「バンボッチョーニ」や「キッパーズ」たちの増加は、
今後全世界的に起こるであろう、ひきこもり青年増加の先触れである。
彼らのために有効な支援システムを構築し、さまざまなノウハウを蓄積しておくことは、もはや日本国内だけの問題ではない。
広く国際貢献につながる課題として、「ひきこもり先進国」の責任が問われることになるだろう。
http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/news/20100307ddm002070078000c.html