定年を3年後に控えた、準大手メーカー勤務の大塚洋二氏(57歳・仮名)は、ある日突然妻から
「あなたに死んでほしいと思っている」と打ち明けられたときの驚きについて、こう語る。
「定年を目前に、退職後の人生について考え始めました。これまで家庭を顧みず働き続けてきたので、
退職したら二人で温泉旅行をしたり、妻が没頭している社交ダンスに一緒に参加したり、妻と一緒に
過ごす時間を大切にしようと考えていました」
なんと妻想いな旦那だろうと称賛したいところだが、この男性が率直に妻に自分の気持ちを打ち明け、
「定年後はお前の幸せを優先したい」と言った瞬間、妻の怒りが突然爆発したという。
「『なにをいまさら“お前の幸せ”よ! 私のこれまでの人生はあなたにむちゃくちゃにされてきたのよ!
本当に私の幸せを思うなら、いますぐ死んでくれたほうが私にとっては幸せよ!』と、鬱積した不満を
一気に放出させるかのように私を罵り始めました。私は閉口するしかありませんでした」
定年間近の夫に襲い掛かった思わぬ危機――これは決して他人事ではない。
「夫に死んでほしいと思っている妻が増えている」――'09年12月5日号の本誌でこんな記事を掲載した
ところ、多くの反響が編集部に寄せられた。この記事は、インターネットの検索エンジンで「夫」という
言葉を入力すると、関連ワードに「死んでほしい」や「嫌い」といったおぞましい言葉が表示される
という現象を取り上げたものであったが、本誌の取材に応じてくれた既婚女性の多くが「実際、夫に
死んでほしいと思ったことがある」と答えたことに衝撃を受けた読者の方も少なくなかったようだ。
一方で「自分の妻がそんなことを考えているとは思えない」という声も聞こえてきた。たしかに、
夫に死んでほしいと思っている妻がどのぐらい存在するかを示す統計データのようなものは存在しない。
しかし、政府が実施したある調査は、本当に妻に殺されそうになった夫が、少なからず存在することを
示唆している。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/275