原油価格の回復を背景に中東マネーが静かに日本株に流入している。イスラム投資家の物色動向を
示すシャリア指数は、前年同月比約20%上昇。上値を買っていく独特の動きだった数年前のピーク
時に比べればやや「地味」だが、海外勢の一角として日本株の需給を左右する存在には変わりない。
金融緩和政策で一段の円安に向かえば、今後も断続的な中東マネーの流入が期待できるとみられている。
中東マネーは18日の取引で、日経平均1万0300円付近で、鉄鋼や商社への買いが観測され、
「久々にオイルマネーの存在を認識した」(大手証券の株式トレーダー)との声が出ていた。
今週に入っても23日には米系年金とともに150億円規模の押し目買いがみられ、24日には朝方、
欧州金融機関からの500億円規模の先物売りで日経平均は下げたが、140億円程度のオイルマネーの
押し目買いで下げ幅を縮小したとみられている。
オイルマネーの物色対象とみられる鉄鋼株の指数は2月15日以降4%超上昇している。
東京海上アセットマネジメント投信シニアファンドマネージャーの久保健一氏は「鉄鋼株は1月以降、
資源価格の上昇を価格に転嫁するとの見通しから世界的に選好されるトレンド」としたうえで、
オイルマネー流入の可能性も指摘する。米スタンド・アンド・プアーズ(S&P)によると、
日本の大型優良株などを加重平均した株価指数「S&P TOPIX 150 シャリア」(
シャリア指数)は2月15日以降、550―570ポイントで推移している。これは前年同月の水準を20%超上回る。
日経平均は2009年8月31日に1万0767円、2010年1月15日に1万0982円
10銭の高値を付けたが、シャリア指数の月次の平均値は2009年8月、同12月のいずれも
580ポイント付近と足元での最高値を付けた。日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏は、
中東マネーが世界の金融市場を席捲していた当時は「1日当たり300億円程度の買いは当たり前のようにあった」と話す。
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-14069620100225