【バンクーバー飯山太郎】バンクーバー五輪第6日の17日(日本時間18日)、
カーリング女子の1次リーグで日本代表「チーム青森」が強豪カナダに惜しくも逆転負けを喫した。
サード(チームの第3投者)を務める近江谷杏菜(おおみや・あんな)選手(20)は、98年長野五輪代表の
好幸さん(51)=北海道北見市職員=を父に持つ。親子での五輪代表は日本カーリング界初だ。
近江谷選手は「父は長野で5位だった。自分はメダルを取ってリベンジを果たしたい」と意気込んでいる。
8歳の時、父が長野五輪で活躍する姿をテレビで見た。「すごく誇らしかった」。生まれ育った北海道常呂町
(現北見市)は授業にカーリングがあるほどの土地柄。小学4年生のころには、自然とストーン(石)を握っていた。
普段は優しい父も、競技については厳しい。時には「あの作戦はなんだ」としかられた。当時の好幸さんは、
カーリング指導で海外を転戦していることが多く「いつも練習を見てくれないのに
なんで試合の時だけ怒られるんだろう、とちょっとムッとすることはあった」。
それでも中学生で02年世界ジュニア選手権代表入り。高校では全国選手権で優勝と順調に成長した。
08年1月に父の勧めでチーム青森に加入。やがて世界を相手に戦うようになると、
父はカーリングの話をすることがなくなった。娘を一人前と認めたからだった。
この日の試合前の選手紹介でスタンドに手を振った時、近江谷選手の左手の小指に指輪がキラリと光った。
両親の結婚指輪で、高校2年の時に母からもらった。「触っていると落ち着く。父に似て指が太く、
小指にしかはまらないですけど」とはにかんだ。そんな娘を「やるからには悔いのない試合を」と送り出した父は、
バンクーバーのテレビ解説席で見守っている。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20100218k0000e040083000c.html