嗅覚(きゅうかく)の異常を調べる試薬を、独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が開発した。
現在、複数の医療機関で試験導入されており、いずれは人間ドックなどでの採用を目指すという。
嗅覚の異常は自覚症状がないため発見が難しい。
診断ができればアルツハイマー病などの早期発見にもつながると期待されている。
開発したのは、産総研人間福祉医工学研究部門の小早川達・主任研究員。
「オープンエッセンス」の名で、2008年秋から和光純薬工業(大阪市)を通じて全国の医療機関へ販売している。
試験薬は手のひらサイズのカード型。
中ににおいの分子が印刷されており、鼻を近づけてかいだ後、4個の選択肢からにおいを当てる仕組みだ。
1セット12枚で、おおむね4回以上誤った場合、嗅覚異常の可能性があるという。
嗅覚障害に詳しい金沢医大の三輪高喜・医学部教授によると、全人口の1%ほどに嗅覚障害がみられるとの調査結果がある。
しかし嗅覚異常は自覚症状に乏しく診断を受ける例はまれだ。
アルツハイマー病やパーキンソン病などの認知症では初期段階で嗅覚に異常が見られることも多い。
小早川研究員は「一人でも多くの人が検査できるよう、人間ドックへの採用を目指したい」と話している。
http://www.asahi.com/science/update/0126/TKY201001260219.html