相撲協会「無記名投票だけど、投票箱に入れる前に立会人に中身見せろよ」
初場所後に行われる日本相撲協会の理事改選(2月1日)で、前例のない投票方法が
実施されることが23日、わかった。関係者によると、投票用紙に候補者の名前を記入した後
各一門から1人ずつ指名された選挙管理委員、立会人に投票用紙を事前に見せてから
投票箱に投じる方法になるという。平成10年以降、3度の選挙では規則どおり
無記名投票だったものが、事実上、形骸化されるおそれがある。
相撲界の改革を旗印に、所属していた二所ノ関一門を離脱し、初めて協会の理事選挙に
立候補する貴乃花親方(元横綱)の行動に端を発した理事改選が、ついに投票制度も揺らす。
これまで選挙管理委員会などで、投票方法について数度の話し合いが行われ
「記名投票にすべき」などの意見が続出したとされる。ただ、協会の寄付行為施行細則30条には
「理事及び副理事の選挙は、評議員会において評議員の単記無記名投票により行う」
と定められていることから、「記名投票」の導入を断念。その後、意見を調整した結果
記入した投票用紙を“開示”する方式に落ち着き、すでに複数の一門で評議員に通達されているという。
前例のない投票方法の導入は、当然、貴乃花親方の出馬が影響している。今回の理事改選には
計11人が立候補。定員10人を争う選挙で4期8年ぶりに、投票権を持つ111人の
評議員の投票で行われる。当選ラインは10票以上で、持ち票23を確保する二所ノ関一門では
二所ノ関親方(元関脇金剛)・放駒親方(元大関魁傑)が当選を確実にしているが
“浮動票”が一門を離れた貴乃花親方に流出することを防ごうとする票固めを強くしている。
投票用紙を事前チェックすることで、“裏切り者”を出さない予防策を取ることになったという。
一門の幹部から通達を受けたある親方は、「やり方がひどすぎる。こんな選挙があって
いいわけがない。自由に投票できるようにしてほしい」と訴える。寄付行為施行細則30条には
「選挙は相撲道の本旨に鑑み、名誉と品位を汚すことなく厳正に行わなければならない」
とも定めている。“踏み絵”のように、票を事前にチェックする投票方法は「品格」を問われかねない。
http://www.sanspo.com/sports/news/100124/spf1001240505002-n1.htm