厳しい不況が続く中、雇用の受け皿として期待された介護分野への就職が伸び悩んでいる。低賃金や業務の過酷さなどが要因とみられている。こうした中、厚生労働省が
今年初めて全国規模の就職フェアを開催するなど、行政側は取り組みは強化。しかし、事業者側は即戦力や介護業界を第一志望とする求職者を希望しており、「不況だから
介護職というのは困る」との声も漏れる。両者の隔たりは大きく、“ミスマッチ”の解消は難しいようだ。
「介護はきついといわれるが、今はもう、与えられた仕事ならなんでも頑張りますよ」
今月18日、大阪市内で開かれた合同就職説明会で、介護事業者のブースを訪ねた
同市天王寺区の男性(39)。今年6月から警備員をしていたが、10月に勤務先から
「他の仕事を探したらどうか」と言い渡され、現在求職中という。
厚労省によると、求職者1人に対する求人数を示す有効求人倍率は、11月時点の
全業種平均で0・45倍。厳しい状況が続く中、介護関係の職種は1・32倍と高さが
目立った。大阪市内の在宅介護事業者の採用担当者も「慢性的な人手不足。スタッフは
のどから手が出るほどほしい」と話す。
ただ、こうした“売り手市場”でも、介護分野への就職は、思うように進んでいない
のが実情だ。
大阪府社会福祉協議会などが9月にまとめた「民間社会福祉施設の雇用管理等実態
調査」によると、正規職員の採用率は平成18年度の20・1%に対し、20年度は17・8%に低下。反対に、離職率は17年度の13・6%から19年度には16・4%に増加した。
中略
ただ、大阪府社会福祉協議会などの実態調査では、業界側の81・5%が「人材
確保が困難」と回答する半面、理由としては「求職者の資質」「給与などの待遇面」が上位に挙がった。ある介護事業者は「われわれが求めているのは、仕事がないから
介護ではなく、介護の仕事を希望する人材。人手は欲しいが、妥協はできない」と話しており、ミスマッチの解消は一筋縄ではいかなさそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091229/biz0912291959019-n1.htm