中部地方以西の温暖な地域が中心とされるイチジクの生産が、防寒対策の普及とともに県内でも増えている。
樹高が低く作業もしやすいとあって、定年前後に農業を始める生産者が目立つ。
先行する騎西町に追いつけとばかりに川島町は出荷量を増やし、坂戸市などと共に特産品化をめざす。
ジャムからワイン煮まで、多様な味わい方の試みも始まった。
県農林部によると、県内のイチジクの収穫量は2006年の約106トンから07年に201トンとほぼ倍増。
自治体別の出荷量をみると、第1位の騎西町は07〜09年に各50トン前後だが、
川島町は市場出荷だけでも08年の5トンから09年には16トンと3倍に増えた。
川島町では米、イチゴに次ぐ第3の特産品にしようと、06〜08年に計3362本の苗を生産者に配り、計約5ヘクタールの植え付けを支援。
50、60代を中心に46人が町いちじく生産組合に参加し、太い幹にわらを巻く防寒法などを習得、木は順調に育った。
原田裕組合長は「騎西町に近づけるよう頑張っている」と意欲的だ。
一方、坂戸市では05年に6千平方メートルで植え付けた苗木の大半が冬の寒さで枯死した。
そこで、大家いちじく倶楽部(亀田康好会長)は毎年12月〜4月に、木を土の中に埋める独特な防寒法を採用したところ、
生産が軌道に乗ったという。08年の出荷量は約1・5トンで、09年は2トンを超える見込みという。
また、花園農協によると、深谷市の旧花園町地域でも出荷量は年々増え、09年は約14トンという。
イチジクはカルシウムや食物繊維に富むため、健康志向が消費を下支えしているとみられ、人気が高まる食べ方を探る動きも出てきた。
坂戸と川島の農産物直売所では、イチジクのジャムの売り上げが好調。騎西町ではイチジク入り和菓子も好評だ。
また、川島町いちじく生産組合は4日、イチジク入りのカレーライス、ゴマあえ、ワイン煮などの調理研修会を開いた。
特に約1時間かけレモン汁などで煮込むワイン煮は、料亭でも提供される上品な味わいの逸品という。
参加した女性は「さっぱりした甘さだね」と納得していた。
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