「偽装請負だが雇用契約ない」 最高裁、地位確認を棄却…パナソニック子会社逆転勝訴
判決後、都内で記者会見する吉岡さん
http://osaka.yomiuri.co.jp/photo/20091219-557580-1-L.jpg http://osaka.yomiuri.co.jp/eco/news/20091219-OYO8T00218.htm パナソニックの子会社「パナソニックプラズマディスプレイ」(大阪府)の茨木工場で働いていた
元請負会社社員の吉岡力さん(35)が「偽装請負の状態で働かされた」として、
プラズマ社に従業員としての地位確認などを求めた訴訟の上告審判決が18日、
最高裁第2小法廷で開かれた。中川了滋裁判長は、吉岡さんに従業員としての地位を認めた2審・
大阪高裁判決を破棄、地位確認や未払い賃金の請求を棄却した。
一方、吉岡さんを不良品の修復作業に従事させたり、半年間で雇い止めをしたりしたことについては、
吉岡さんが労働局に偽装請負を告発したことに対する報復だとして、慰謝料90万円の支払いを命じた。
判決によると、吉岡さんは請負会社社員として2004年1月から同工場で勤務したが、05年5月、
大阪労働局に「勤務実態は請負ではなく派遣で、違法だ」と告発。
その後、半年間の期間工として直接雇用されたが、1人だけの職場で働かされ、
06年1月、期間満了を理由に職を失った。
2審は「作業はプラズマ社が直接指示しており、雇用契約が成立していた」と認定。
最高裁判決は、吉岡さんの勤務実態を違法な偽装請負だとしたものの、
「プラズマ社側は採用や給与の決定にかかわっておらず、暗黙のうちに雇用契約が成立していたとはいえない」と判断。
「労働者派遣法の限界を示した判決。早期に改正案を成立させる必要がある」。
判決後の記者会見で、原告代理人の村田浩治弁護士は力を込めた。
現行の労働者派遣法では、偽装請負などの違法な派遣が発覚しても、
派遣先の会社に雇用を義務づけてはいない。同法は現在、改正案が審議されている。
製造業派遣などの原則禁止とともに焦点となっているのが、違法派遣があった場合に、
派遣先と派遣労働者との間に雇用契約があるとみなす「直接雇用みなし規定」の創設だ。