【壬生】イチゴ収穫がピークを迎える中、徹底した栽培管理で高品質大量収穫を続ける農家がある。
全国でわずか6人の「匠の技」に選ばれ、母校東京農業大で客員教授も務める上稲葉の三上光一さん(62)。
消費不況で経営環境が厳しい中、その栽培方法に周囲の注目が集まっている。
三上さんの栽培するとちおとめは糖度が高く品質もよく、県内の生産農家の平均が10アール当たり4・5トンの
収量なのに対し、約1・3倍の6〜6・5トンと高い収量を上げている。1996年には同8・46トンを収穫した。
それらが評価され、社団法人全国農業改良普及支援協会が、優れた技術を生み、生産性などの点で優れた
営農活動を実践する農業者を認定する「匠の技」のイチゴ分野で、三上さんは全国でただ一人選ばれた。
栽培方法の要点に「土作り」を挙げる。土壌を改善するため畑に蓄積した塩類や肥料を除去する代かきを
毎年欠かさず、牛ふんやもみ殻に微生物を加えた肥料作りも徹底。
苗の根張りを促進するための水管理や厳寒期の温度調整など、環境整備にも手間を惜しまない方法だ。
「JAや農業振興事務所との連絡を密に有効な情報提供や指導を受け、基本通りの栽培を徹底してきた」と三上さん。
JA下野壬生地区営農経済センターの高山信夫センター長(50)は「長年取り組むと自己流になってしまう。
基本に忠実な栽培は簡単そうで難しい。栽培方法を普及してもらいたい」と期待する。
若手育成にも力を注ぐ。約40年間、国内外から住み込みで研修生を受け入れ栽培技術などを指導しているほか、
同大での講義や町苺出荷組合青年部員を対象にした講話会などにも精力的に取り組んでいる。
三上さんは「安値志向の中、収量を上げないと厳しい。今後も努力し、担い手育成にも尽力したい」と意欲を見せている。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20091212/251858