アジアの大都会となった上海の忘れ物=大原平
3年ぶりの上海を訪れた。10年前までは、市内に20階建ての高層ビルが2千棟あると言われた話が、
今回の訪問で40階建てのものが4千棟以上あるという話に変わっていた。
確かに、空港から市内に入って見えた景色やホテルの部屋から見える光景はまさしく建築ラッシュを感じさせるものばかりで、
空がよどんでいた。近くの街を散策しようと繰り出すと、思わず口を覆いたくなる排気ガスと土ほこり。結構、イメージがトーンダウンする瞬間だった。
「海(都会)」に出るという意の上海。さすがに流動人口を入れると市内人口だけでも
1,500万人は下らないだろう、の大都会。地下鉄は以前より整備が進んでおり、車両も乗っていて心地がいいと感じさせた。
欧米人が目立つようになり、ビジネス街で行き来する人たちも以前と違ってファッション性のあるものを着こなし、
夜の新天地界隈では、まさに異郷の地を思わせた。なぜか台湾には店舗がないが、上海市内のユニクロ店は若年層を中心に繁盛していた。
ただ、どうしても地元の焼き小籠包を堪能したいと欲を張る筆者にとっては、
街の大都会への深化ぶりに対する驚きよりも、地元の薄汚れた商店風の店がどんどん姿を消していくことに
一種の哀愁感を覚える。やっと見つけたところでは、それは美味しいこと。肉汁の深みから皮の柔らかさまで。
高級ホテルレストランの何十分の一の値段で食することができる満足感は何にも代えられない至福の瞬間だった。
新しきものと伝統的なものが隣合わせているのが今の上海だ、と地元の人も自分たちの街をこう表現する。
来場者7千万人が予定されている来年5月からの万博イベント。まだまだ街が変わるばかりか、
前出のような旧来の商店や風景が見れなくなる淋しさは結構つらいものがある。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1204&f=business_1204_067.shtml