消えゆく「金沢型」 豪華絢爛な霊柩車
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20091212104.jpg 神社や寺院のような装飾を施した宮型霊柩車(れいきゅうしゃ)が県内で減少している。かつては、豪華絢爛(けんらん)
な「金沢型」と呼ばれる霊柩車が一般的だったが、製作する職人の減少や高額な費用から、洋型車両に切り替える業者が
増えている。都市部や住宅地では目立つ金沢型を敬遠する遺族もおり、石川の弔いの風景が様変わりしているようだ。
全国霊柩自動車協会(東京)によると、「金沢型」は四方向から参拝できる唐千鳥(からちどり)破風(はふ)の屋根が
特徴で、彫刻や金箔(きんぱく)を施した車両もある。二方向から参拝する「関東型」や黒檀(こくたん)づくりの「名古屋型」、
白木の「近畿型」などと比べても、金沢型はひときわ大きく色彩も鮮やかとされる。
白山市の葬祭業「天祥閣」では、宮型と洋型を2台ずつ所有している。「金沢型」の宮型霊柩車は高さ約2・7メートルで、
外車を改造し、金箔や漆、精巧な彫刻を凝らした装飾を載せている。近年は、使用料が同じでも洋型を要望する遺族が増え、
全体の約8割に上っている。
同協会県支部長で北陸葬祭協業組合(金沢市)の中島和雄理事長によると、県内に残る金沢型霊柩車は20〜30台と
みられる。金沢型は2千〜3千万円と高額な価格に加え、漆や金箔が使われているため、維持費もかさむ。さらに重量や
大きさが災いして車検も通りにくく、手放す業者が増えているという。
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20091212104.htm 中島理事長は「宮型霊柩車は、輿(こし)で棺(ひつぎ)を運んでいた古くからの風習に通じている。できる限り、地域に受け継がれている弔いの風景を守りたい」と話した。