漢検協一新「道半ば」
今年の漢字 最多応募に思い複雑
前理事長父子の背任容疑事件で揺れた後、初めて「今年の漢字」を発表した
財団法人日本漢字能力検定協会(京都市下京区)の鬼追明夫理事長は11日、
京都市東山区の清水寺で記者会見し、「『新』が選ばれたことは、
新生漢検を標ぼうしてきた協会としても意義深い」と話した。
ただ、改革は「道半ば」とも述べ、信頼回復への道のりの険しさをにじませた。
会見で鬼追理事長は、昨年を約5万通も上回る過去最多の応募があったことについて
「いいことも悪いことも含め、協会の認知度が高まったせいではないか」と複雑な表情で述べた。
また「(協会の体質が)完全に新しくなったかと問われれば、道半ば。
公益に徹した団体にするため、いろんな策を実行している」と理解を求めた。
今回、応募の多かった漢字20位以内に事件に直接関係する字はなく、
協会によると、応募用紙にも協会に対する批判や風刺は特に見受けられなかったという。
前正副理事長が架空の業務委託で協会に多額の損害を与えたとして背任罪に
問われている事件の影響で、「今年の漢字」の開催も一時危ぶまれた。
会見に同席した清水寺の森清範貫主は、来年以降も「今年の漢字」発表に協力する意向を示した。
観光で清水寺に来た名古屋市の会社員男性(37)は「自分は『民』と予想していた。
漢検の事件後、検定料が安くなったのを会社の後輩が喜んでいたが、
協会そのものが『新』しくなったかどうかはよく分からない」と首をひねった。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009121100231&genre=C4&area=K00