「倭族」
倭・倭人を日本列島に限定しないで、より広範囲にわたる諸民族を包括する作業仮説的な
民族概念として「倭族」がある。提唱者は古代史・文化人類学研究者の鳥越憲三郎らである。
鳥越の定義では倭族とは「稲作を伴って日本列島に渡来した倭人、つまり弥生人と祖先を同じくし、
また同系の文化を共有する人たちを総称した用語」である。古代日本列島における
倭人・倭国については魏志倭人伝(『三国志』魏書東夷伝倭人条)が有名であるが、
鳥越は他の史書における倭人の記述(『論衡』から『旧唐書』にいたるまで)を読解し、
長江(揚子江)上流域の四川・雲南・貴州の各省にかけて、複数の倭人の王国があったことを指摘した。
その諸王国はたとえば『史記』にある以下の諸国である。
?(てん)
夜郎(貴州省赫章県に比定され、現在はイ族ミャオ族ペー族回族などが居住。
昆明
且蘭(しょらん)
徙(し)
キョウ都(現在の揚州市カン江区に比定)
蜀
巴(重慶市)
さらに鳥越は、倭族の起源地を雲南省の湖テン池(?池)に比定し、
水稲の人工栽培に成功したというシナリオを描く。
以降、鳥越は古代史的な文献研究と現場調査を交差させ、
倭族の一部が日本列島に移住し、また他の倭族と分岐していったことを示した。
分岐したと比定される民族には、イ族, ハニ族 (古代での和夷に比定。
またタイではアカ族)、タイ族、ワ族、ミャオ族、カレン族、ラワ族などがある。
ほか鳥越は、高床式建物、貫頭衣,注連縄などの風俗を比較している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%AD%E4%BA%BA