「国際エクパット」事務局長のマドリナンさん
児童ポルノなど子どもの性的虐待の問題に取り組むNGO「国際エクパット(ECPAT)」の事
務局長、カルメン・マドリナンさん=写真=がこのほど来日し、東京でセミナーを行った。
インターネットの普及やグローバル化で問題は深刻化しており、子どもを守る法の強化が必
要と指摘した。
国際エクパット(本部・バンコク)は世界各地に拠点を持つ国際ネットワークで、児童買春な
どに反対する活動をいち早く始めた。児童保護の教育プログラムの専門家でもあるマドリナ
ンさんは、警察庁のセミナーに続き、11月26日に国会内で開かれた与野党議員との会合
に参加。児童ポルノの深刻な状況を報告した。
それによると、子どもの性的虐待の場面を写した児童ポルノ画像はネット上で増えており、
〈1〉毎日約200の新しい画像が流布している〈2〉国際刑事警察機構が集めたネット上の画
像で被害児童数は1万〜10万人、その8割が6〜12歳と推定される〈3〉より暴力的でより
幼い子の画像が増える傾向がある――という。
また、英米加豪などの捜査機関が情報を分析した結果、ポルノ所持で逮捕された者の40%
が子どもへの犯行を実行、15%が計画したことが明らかになったという。
「見る行為と犯罪の関連性がわかってきた。麻薬や銃と同様に、反社会的な使い方をされる
危険性がある物は所持から禁止する必要がある。製造や流布の禁止だけでは十分ではな
い」とマドリナンさんは言う。
「表現の自由」の侵害が懸念されている点では、「多くの国で議論になったが、児童ポルノは
重大な犯罪であり、まず子どもを守るのだと合意したうえで、各国とも両者のバランスをとる
努力をしている」と紹介。「アニメやゲームなどの性的表現も『子どもを性的満足の道具にし
ている』という観点から、多くの国が処罰化を進めている」とし、日本での議論を促した。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20091205-OYT8T00253.htm