仏自動車大手のプジョーシトロエングループ(PSA)が、三菱自動車に資本参加することが2日、明らかになった。
PSAが三菱自の2000億〜3000億円規模の第三者割当増資を引き受けて筆頭株主となり、
議決権の3〜5割を取得する案を軸に最終調整している。三菱自は資本支援を受け経営再建を加速する一方、
PSAは三菱自が持つ電気自動車など環境技術や新興国の事業基盤を活用。
環境車の共同開発なども検討しており、激変期の世界市場を共同で開拓する。
海外勢による日本の自動車メーカーへの大規模な資本参加は、1999年の日産自動車と仏ルノーの資本提携以来、約10年ぶり。
金融危機後の世界的な需要急減と環境車シフトで自動車業界はかつてない試練に直面している。
環境技術を軸とした「三菱自―PSA連合」の誕生は、
合従連衡の新たな枠組みとして世界の自動車メーカーの再編戦略に影響を与えそうだ。
三菱自の益子修社長と、事業提携関係を持つPSAのフィリップ・バラン会長は国内外で定期的に会談。
複数の関係者によれば、三菱自はすでにPSAに資本提携を打診、両社で条件面での詰めの協議に入った。
三菱自は事実上、PSAの傘下に入るが、三菱自がPSAグループに出資することも検討している。
三菱自への出資比率についてはPSA側は50%超を求めているもようで、流動的な面もある。
第三者割当増資は取締役会決議でも可能だが、事実上、経営権の異動を伴ううえ、
発行可能株数を増やすため、来年6月の株主総会で承認を求める。
三菱グループは現時点で15%を保有する筆頭株主の三菱重工業をはじめグループで計34%の議決権を持つが、
増資で持ち分は大幅に薄まる。08年の世界販売台数はPSAが約326万台(世界シェア8位)、三菱自は約119万台(同15位)
。今回、誕生する三菱自―PSA連合の世界販売は、約445万台と
韓国・現代自動車グループを抜き、米フォード・モーターに次いで世界シェア6位に浮上する。
3日付、日経朝刊より