政党のビラを配るためにマンションに立ち入ることは住居侵入罪にあたる――。
「葛飾政党ビラ配布事件」の30日の最高裁判決は、そんな結論を導いた。被告側は、
憲法が保障する「表現の自由」が狭められないかと危機感を強める。
「紋切り型の判決だ」。住居侵入罪に問われ、罰金5万円の有罪判決が確定する
住職の荒川庸生被告(62)は最高裁判決の後、「言論弾圧に歯止めをかけるべき最高裁が、
自らその役割を放棄した」と怒りをあらわにした。
高校生のころから共産党のビラを配り、そのために集合住宅にも何度となく入ってきた。
「受け取った人に読んでもらいたい」という気持ちが強く、玄関先の集合ポストではなく、
なるべくドアポストに入れてきた。それが突然、犯罪にされたことはどうしても納得いかないという。
一審の東京地裁は「マンション内に立ち入ってビラを配ることが、当然に刑罰をもって
禁じられている行為であるとの社会通念は確立されていない」と判断。無罪を言い渡され、
両手を挙げて喜んだ。しかし、検察側の控訴を受けた東京高裁は逆転有罪。今度は怒りでこぶしを突き上げた。
最高裁判決が弁論を開かずに判決言い渡しを決め、有罪が確定する見通しになっても
「今まで犯罪と言ったのは、警察、検察と東京高裁だけだ。決して犯罪でないと確信している」と
望みをかけてきた。だが自分の主張は「憲法の番人」たちに退けられた。
http://www.asahi.com/national/update/1130/TKY200911300263.html