インターネットカフェでの犯罪の防止策を検討していた警視庁の「有識者懇談会」は、利用時の本人確認や、利用記録の保存を義務づけることが必要とする報告書をまとめた。
18日の最終検討会で同庁に提出する。英国人女性死体遺棄事件で今月10日に逮捕された市橋達也容疑者(30)が利用していたとみられるなど、
ネットカフェの匿名性が捜査の障害になっていることから、同庁は本人確認の義務化に向けて本格的な準備を始める。
先月発足した有識者懇談会では、座長の前田雅英・首都大学東京教授や、業界団体「日本複合カフェ協会」の若松修顧問らが中心になって、犯罪の防止策を検討していた。
今回まとめた報告書では、都内に8月末時点で計561店舗あったネットカフェのうち、〈1〉本人確認を実施している214店では、刑法犯の発生件数が
1店舗あたり0・73件だったのに対し、未実施だと確認できた323店は2倍以上の1・56件だった〈2〉24時間営業の店が88%を占め、若者のたまり場になっている――などの問題点を指摘。
先月、同庁が振り込め詐欺で逮捕した無職の男(26)が「本人確認が不要な店は利用するのに格好の場所」と供述した点にも触れて、
「素性がばれない」という理由で未実施店を選ぶ利用者が多い現状を改善する必要があるとした。
その上で、運転免許証など身分証による本人確認を客と店側の双方に義務づけるべきだと結論づけ、店側が顧客情報や利用記録を一定期間保存することなどを提案している。
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20091116-OYT8T00825.htm http://www.yomiuri.co.jp/photo/20091116-979023-1-L.jpg