西武が興味−。阪神を退団した今岡誠内野手(35)が11日、甲子園室内で行われた12球団合同トライアウトに参加。
現役にこだわるかつての天才打者に、西武が獲得へ興味を示した。引退という最悪の事態から光が見えてきた。
雨の甲子園。室内練習場で、ネットに囲まれた中でのシート打撃という変更にも、今岡は「人が評価すること。自分がやることは一緒」と、一心に白球を追った。
「思ったよりすごく緊張しました。靴も脱げて…。そのくらい緊張しました。久しぶりですね。あまり緊張しないんですが、何か、きょうは」
ノックではスパイクが脱げるアクシデントも。実戦形式では計8打席。3四球を選び、安打性の当たりは2で三振1だった。
「もう、きょうで他球団の方に評価していただくと。区切りですかね。きょうに合わせて、打って、守ってとやってきた。
自分という選手を評価してもらいたい。神宮? 行きません。これで評価されると思っています。自分に関しては」
25日に神宮で2度目のチャンスはあるが、参加を否定した。一度で出し切る。それで評価されるか、されないか。阪神での引退試合を断って、こだわった現役。
「もう一回自分をスカッとさせたい」−。2003年首位打者、05年打点王の2度のタイトルに輝いた実績を誇るスラッガーのゼロからの挑戦。敏感に反応したのが、西武だった。
「持ち帰って検討します。こういうトライアウトにまで出てくるという野球への姿勢は、買えます。将来的にも、指導者などを出来る素材だと思います」。
行沢編成部プロ担当(来季2軍監督)が明かした。野球への情熱。さらに類い希な経験と技術は、ユニホームを脱いだ後も戦力になりえるという判断だ。
また、広島・川端編成部長は「失礼のない金額がどうなのかわからないんで…。難しい」と高額年俸(今季1億8000万円)をネックとしながら、わずかな可能性も残した。
「あとは待つだけ。正式な話はまだいただいていません。(声がかからなかった場合は)考えていません。『ない』という概念がないんで」
話がなければ引退しかないが、今岡はあくまで強気。それに呼応するかのように西武が興味を示した。かつての天才打者は吉報を待つ。
(堀 啓介)
http://www.sanspo.com/baseball/news/091112/bsg0911120506001-n1.htm