桜島火口近くに地震計設置へ 無人ヘリで運搬、世界初
2009年11月7日8時30分
活発な噴火活動が続いている鹿児島県・桜島の監視強化を目指し、東京大や京都大などの研究
グループが、立ち入りが禁止されている火口近くに地震計を設置する計画を進めている。無人ヘリ
で地震計を運び、設置するのは世界でも例がない試みという。合わせて火口付近で火山灰の採取
などにも挑戦、観測結果を噴火予測につなげたい考えだ。
桜島は最近、活発な噴火活動を続けており、噴火警戒レベルは入山規制のレベル3になっている。
鹿児島市などによると、南岳や昭和火口から周囲2キロ以内は、50年以上前から立ち入りが禁止
されている。桜島の活動を調べている京大によると、禁止区域内にあるのは地震計一つだけで、しか
も火口からは2キロ近く離れている。火口周辺は観測の「空白域」になっているのが現状だ。
このため、東大地震研究所の金子隆之助教(火山地質学)らは、小型の無人ヘリを使って立ち入り
禁止区域内の4カ所に地震計を運び、設置することにした。火口を囲むように四方に置く。火口に最も
近いところでは300メートルほど。火口近くに設置すれば揺れの発生場所がより正確にわかり、火山
の内部構造を詳しく知ることができるという。
グループが独自に開発した地震計で、約25センチ四方の立方体。全面に太陽電池パネルをはり付
けてある。データは携帯電話の回線で送信する。
さらに、無人ヘリで火口近くから積もった火山灰を採取する。定期的に成分を調べることで、マグマ
の変化がわかるという。溶けたマグマは磁力が消えることを利用して、上空から磁気の強さを測定し
てマグマの位置を実験的に調べる予定もある。
金子助教によると、研究者がヘリに乗って伊豆大島で空中から磁気探査した例があるが、無人ヘリ
で地震計を設置、観測もする例は世界でも初めてではないかという。
3日にも地震計の設置をし、データの収集を始める。金子助教は「継続的に観測することで、噴火の
予知につなげたい」と話す。(福島慎吾)
http://www.asahi.com/national/update/1102/SEB200911020016.html