合併地域の線引き/厳しい財政運営
相模原市が目指してきた来年4月の政令指定都市移行が、23日の閣議で正式決定された。決定を受け、加山俊夫市長は「広域交流拠点都市」
「暮らし先進都市」の実現を目標に掲げたが、先延ばししてきた山間地域への都市計画法適用や、厳しい財政運営など、課題も山積している。(堀田佳彦)
■旧3町の不安
最大の課題は、合併した旧津久井、相模湖、藤野3町地域を市街化区域と市街化調整区域に分ける線引き(区域区分)導入問題だ。
線引きにより、都市計画税課税や開発規制などの新たな負担が生じるため、住民から反対の声が噴出。
市は昨年12月、移行前の導入を断念し、移行1年後をめどに導入すると決めた。
しかし、都市計画法に基づく政令は、政令市への線引き導入を義務付けており、さらなる先延ばしは許されない。
市は開発規制緩和などの措置を取るとしているが、住民の不安は消えていない。説明会を数多く開くなど、よりきめこまやかな対応が求められる。
■道路負担250億円
政令市になると、石油ガス譲与税や宝くじ収益金などの財源が生まれる
一方で、国県道の管理権限移譲に伴い、県債負担金250億円を30年かけて県に支払わねばならなくなるほか、
国の直轄事業負担金の支払い義務も生じるなど、新たな負担も生じる。そのため、市民の間に「過重な負担がサービス低下につながるのでは」との懸念が広がっている。
財政の健全性を示す公債費比率は4・8%(07年度)と全国の自治体の中でも低く、移行後10年間の推定平均値も7%と政令市で最低になると予測されている。
加山市長は23日、「ムダを排除し、福祉関係予算は切らない」と明言したが、不況による税収減も予想され、
当面は市債発行や財政調整基金の取り崩しで対応せざるを得ないのが現状で、予算編成の難航は必至だ。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20091023-OYT8T01261.htm