ダイオキシンとはなんだったのか
子どもの異常行動 原因化学物質追究 来年度から30万人調査
子どもの教室での立ち歩きや、引きこもりなどの異常行動が、化学物質を原因とする可能性が
あるとして、環境省は来年度、両親や子ども三十万人を対象とした調査に乗り出す。同様の問題
は世界各地で指摘されており、米国と韓国とも連携し二十一年間にわたって原因物質を追究する。
自分の感情や行動を抑制できず、病院で「人間関係の取り方に問題がある」と診断される児童は
昭和五十年代から年々増加。こうした障害は遺伝的要因だけでなく、胎児のころから接する化学
物質が神経の発達に影響を与えている可能性があると研究者から指摘されていた。
環境省は、全国の病院や研究施設十五カ所を拠点に、受診に訪れた妊婦から調査参加者を三年間
で募集。全国の出生児の十万人を対象に臍帯(さいたい)血や毛髪、尿を定期的に採取し十三歳に
なるまで追跡調査する。その後、五年間で分析する。
対象となる化学物質はダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、重金属、内分泌かく乱
物質など。
対象者から約一万人を抽出し、精神神経発達状態について定期的な面談調査もする。
母親や父親からも血液提供などの協力を得るため、調査対象は最大で三十万人に上る見通し。
子どもの症状と化学物質に明確な相関関係が認められた場合、大気、水、土壌について、新たな
環境基準をつくり規制を強化する。
日米韓の三カ国は今年四月、イタリアで開かれたG8環境相会合時に調査協力することで合意
している。得られた知見は国連環境計画(UNEP)などを通じ、発展途上国の子どもの成育環境の
改善にも役立てる予定。
環境省環境リスク評価室の塚本直也室長は「最近の研究では、大人よりも胎児や生まれたての
赤ちゃんの方が化学物質に敏感で、神経に影響し体の中の情報伝達を邪魔していると指摘されて
いる。安心できる子育て環境を整えるため物質を特定し対策を取っていきたい」としている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009102502000050.html