「金になるアルバイト」のうたい文句で勧誘を続けたメンバーは、7年間で約90人にまで膨れ上がっていった。
仙台市内で故意に交通事故を起こし、損害保険会社から多額の保険金をだまし取っていた詐欺事件。
主犯格の阿部和博被告(45)=詐欺罪で起訴=が身内だけで始めた犯行は、
次第に名前も顔も知らないようなメンバーを加えることで、エスカレートしていった。
被告が手にした報酬は少なくとも1億円以上。「阿部被告は絶対的だった。結局、裏切られたんだけどな」。
宮城県警の捜査幹部もあきれるその強欲ぶりとは…。(伊藤真呂武、中村翔樹、吉原知也)
●真夜中の衝突事故…保険金は400万円 県警も保険会社も見抜けず
仙台市宮城野区のはずれ、JR東北線の貨物用線路と陸上自衛隊の仙台駐屯地に挟まれた住宅街で、
左折した車が停車中の車にぶつかる小さな衝突事故が起きた。時間は、周辺住民が寝静まった午前2時15分ごろ。目撃者はいなかった。
左折した車には、運転手の高橋秀喜被告(34)=詐欺罪で起訴=が1人。
停車中の車には運転席に阿部被告が座っていたほか、妻の美香被告(46)と阿部被告が経営するスナックの従業員2人も乗り込んでいた。
起訴状などによると、高橋被告は事故当日の昼ごろ、電話でこう保険会社に申告したという。
「私が運転中、左に曲がろうとしたところ、停車していた阿部和博さんの車にぶつけてしまった。
保険を使って阿部さんの車を直してください」
阿部被告ら4人は首をねんざしたとして、病院で約2週間治療し、
さらに約3カ月間、接骨院に通って診断書を用意。高橋被告の保険会社に「
おれを含めて4人がけがをした。治療費などは、おれが支払った。事故で体を悪くして仕事を休んでいるんだ。
休業補償費をしっかり払ってくれ」と訴えて、保険金の支払いを迫った。
結局、車の修理費や治療費など約400万円の保険金が支払われた。宮城県警は当初、物損事故として処理し、
後で人身事故に訂正している。高橋被告は阿部被告のスナックの客だったが、保険会社も県警も見抜けなかった。
県警によると、阿部被告らは平成14年から昨年7月までの7年間で、故意に約25件の事故を起こし、保険金約2億円をだまし取ったとみられる。
http://news.livedoor.com/article/detail/4400898/