愛知県瀬戸市で2001年から行方不明となっていた水谷とめさん=当時(85)=が今月5日、
8年ぶりに家族と“再会”した。
02年に同市の山林で発見された身元不明の遺骨が、水谷さんのものだったことがDNA鑑定で判明。
遺族は「これで墓にも入れられる。感謝以外のなにものでもない」と笑顔。科学捜査の進歩が、
複雑な思いを抱えてきた遺族に光をもたらした。
水谷さんは、市内で息子夫婦と孫3人に囲まれて暮らしていた01年11月14日、夕方になっても戻らず、
捜索願が出された。キノコ採りに山に出掛けることもあったため、延べ1000人が捜索したが見つからなかった。
1年後。山中で白骨が見つかったが大きさ、形状から「中学生男子」とされ、遺体を確認した遺族も納得した。
当時はDNA鑑定の本格導入前だった。その後、現場付近で水谷さんの服が見つかったものの、関連は分からなかった。
長男の多見夫さん(62)は「山を歩けばひょっこり出てくるんじゃないか」という希望と「さすがに高齢だから…」
という思いが7年の間、交錯した。
転機は今年9月。DNA鑑定の精度が飛躍的に上がり、再捜査を進める瀬戸署から、鑑定をしたいと連絡が入り、
とめさんの子らが試料のだ液を提供。
約2週間で結果が出ると、驚きの一方で「本当に安心した。山を歩いていて何かあったのだろう」と受け止めることができた。
女手一つで3人の子を育てた母。8日に死亡届を提出した多見夫さんは、
遺影代わりの肖像画を妻の洋子さん(61)と見つめ「ありがとう、ご苦労さん」と声をかけた。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009101090160009.html