【依頼154】
チャーリー・チャプリン(1977年死去)の映画の著作権を管理する海外法人が、著作権切れを理由に廉価版DVDを
製造している日本の映像製作会社2社に、販売差し止めと損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷
(宮川光治裁判長)は8日、製作会社側の上告を棄却した。2社に販売差し止めと約1050万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。
訴訟の対象となった作品は「黄金狂時代」「独裁者」など、1919〜1952年公開の9作品で、おもな争点は、その著作権保護期間が残っているかどうかだった。
同小法廷は旧著作権法での映画の「著作者」について、「映画の全体的形成に創作的に寄与した者」とする初判断を示し、
チャプリン個人を「著作者」と認定。その上でチャプリンの原作に基づいて、チャプリンが監督したことなどを表示して映画が
公開されたと指摘して、旧著作権法に基づき、9作品の著作権はチャプリンの死後38年を経過した2015年まで守られると述べた。
さらに、このうち公開年が遅い「殺人狂時代」「ライムライト」については、平成15年に改正された現行著作権法の保護期間が
適用されるとして、それぞれ2017年と2022年まで保護されると指摘した。
製作会社側は9作品について、「著作者はチャプリン個人ではなく団体」として、保護期間は満了していると主張していた。
廉価版DVDをめぐり、最高裁は平成19年、映画「シェーン」(1953年公開)について、「団体の著作名義で公開された映画」と
いう前提で、公開後50年の2003年で著作権は切れたとしていたが、今回の訴訟とは異なり、個人の著作物か団体の著作物か
は争点になっていなかった。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0910/08/news050.html