札幌に駐在してた頃、
たまたま呼んだデリヘル嬢には大きな傷があった。
背中に40cmはあろうかという縫い傷。
「ごめんね」と謝ってきたので、傷に舌を這わせて愛撫すると切なそうな声をあげて悶えた。
とても良い娘だったので1年の駐在中、毎週のようにその娘を呼んでた。
半年も経つと完全に打ち解けて、仕事外で食事するような仲になった。
傷は高校生のとき、両親と乗ってた車が事故に遭った際に出来たと。
両親はその時に亡くなり、車外に放り出された彼女は奇跡的に助かった。
それでも身体と心に大きな傷が残り、4か月に及ぶ入院中ほとんど口をきかなかったそうだ。
「この傷だからね、彼氏とか作れなくて....両親死んじゃって働かなきゃいけないし」
彼女はデリヘルで働きだした理由をこう話した。
風俗嬢の身の上話を真に受けるほど、俺はお人好しじゃない。
適当に聞き流してたが、それでも彼女が好きになっていった。
駐在期間が終わる1か月前、彼女を大通り公園に呼びだした。
「来月、東京に帰る。一緒に来てほしい」
彼女は一瞬驚くような表情を見せた後、寂しそうにこういった「そんなの...私なんかダメだよ....」
俺のラストスパートが始まった。
電話にも出てくれなくなった彼女に、メールで説得しまくった。
引き継ぎや転居で公私ともに忙しかったが、返信は無いがメールしまくった。
ストーカー扱いされても構わない、警察に捕まっても構わないと思ってた。
彼女は今、病院にいる。
明後日、俺の子を産んでくれる。
俺の手元には彼女の預金通帳がある。
1億6千万円、彼女の両親の保険全額だ。