和歌山沿岸で熱帯魚相次ぎ確認
本来、沖縄以南に生息するはずの熱帯魚が、和歌山県紀南地方で相次いで捕獲されている。
ここ5年ぐらいは特に多くなっており、マンボウ類からカワハギ類、ハタ類など種類もさまざま。
魚類に詳しい元高校教諭の池田博美さん(64)=田辺市あけぼの=は「今後も紀南地方で
見たことのない魚やその捕獲量が増えてくる可能性がある」と指摘している。
池田さんのデータによると、昨年から急激に確認例が増えているのが、熱帯性マンボウのクサビフグ。
県内で初めて確認されたのは2006年6月。白浜町沖29キロの海域で操業していた巻き網に
全長17センチのものが2匹入っていた。その後、08年4月にすさみ町、6月と7月には白浜町、
8月にはみなべ町でそれぞれ1匹ずつ見つかった。今年9月13日には白浜町の海岸で1匹捕獲された。
全長13・8〜22・8センチとすべて幼魚だった。クサビフグは最大で1メートル近くまで大きくなる。
成長とともに体高が大きくなってずんぐりしてくる。分布は世界の熱帯海域で日本では沖縄以南に生息している。
また、9月上旬には田辺市内の釣具店に西太平洋からインド洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に
生息するマダラハタが持ち込まれた。マダラハタは05年2月、本州で初めてみなべ町沖で確認され、
その後、毎年紀南で1、2匹が捕獲されるようになっている。捕獲されているサイズは15〜49センチと
さまざまで、最大では全長 75センチに成長する。
このほか、ゴイシウマヅラハギやオビハタ、カタボシイワシなどの熱帯魚が、漁師や釣り人によって次々と
捕獲されて報告されるようになった。
県水産試験場(串本町)の調査によって、紀南沿岸の平均海水温が1975年に比べ、2度以上
上昇していることが分かっている。試験場は「地球温暖化によるものかどうかは判断できないが、近年、
漁獲魚種が変化してきており早急な対応が必要」と実態調査に乗り出している。
池田さんは「水温上昇もさることながら、マンボウやイワシなど遊泳性の弱い熱帯魚が捕獲されていることから考えて、
黒潮の流れが速い時期が多くなっていると推測される」と分析している。
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