2009年度補正予算の未執行分を凍結する民主党の方針に対し、都道府県向けの基金では東京都を
除く46道府県が全体の67%に当たる1兆4279億円を12日までに予算化していることが、読売新聞の
調べでわかった。
3233億円分は具体的な事業を決定済みで、一部は議会の議決を経ている。現段階で今年度分の
凍結は難しい状況だ。
民主党は、効果の薄い基金を子ども手当などの財源に回す方針を示しているが、党内では地方向けの
今年度分は執行を容認する議論が高まっている。
中略
調査は各都道府県の財政部局を対象に、9月補正予算案までの状況を聞き取った。失業者の雇用対策に充てる
「緊急雇用創出事業臨時特例基金」(厚生労働省)は、44道府県が事業化した。兵庫県では4億4800万円かけて
警備会社の警備員を拡充、振り込め詐欺の被害防止に取り組むという。
森林の再生などに充てる「森林整備加速化・林業再生基金」(農林水産省)は42道府県が事業化。
埼玉県では9月補正予算案に17億円を計上し、3年間の事業計画も定めている。
だが9月に入り、所管する府省側が一部の基金の交付留保を自治体に伝えた。
補助金適正化法は、補助金交付を決定後も、「特別の必要が生じた場合」に国が取り消せると規定。
しかし、政権交代が理由になった例はなく、財務省は「現段階では統一した解釈を示せない」としている。
民主党は9日の地方6団体との会談で、国家戦略局担当相に予定される菅代表代行が現実的な検討を約束した。
ただ、鳩山代表は「すべて今まで通りにはいかない」とも語り、具体的な検討は内閣発足後になるとの考えを示した。
麻生渡・全国知事会長(福岡県知事)は9日、「全く前政権のままにはいかないのかもしれないが、
景気と雇用対策を進めている現実を考慮すべきだ」と注文をつけた。東北地方のある県の財政担当者は
「こんなことが許されるなら、政権が代わる度に補助金をあてにした政策ができなくなる。総選挙の年は予算が組めない」と嘆いている。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090912-OYT1T00543.htm