第二次大戦:開戦70年 ロシア首相、不可侵条約を正当化 歴史認識で周辺国に圧力
【モスクワ大前仁】第二次大戦開戦の引き金となったとされる1939年の「独ソ不可侵条約」について、
プーチン露首相は31日付のポーランド紙「ビボルチャ」への寄稿で、
「ドイツの提案を断らなかったソ連外交は正しかった」との考えを示した。
旧共産圏から大戦中のソ連の行動を批判する声が相次いでいるが、ソ連を継承するロシアは
自らの歴史の正当性が損なわれる恐れがあることから、徹底反論する立場を鮮明にしている。
寄稿の中で「いかなる者でもナチスとの共謀は道徳的に許されなかった」と言及し、
ポーランドへ一定の配慮を示した。一方プーチン首相は9月1日に開いたトゥスク・ポーランド首相
との会談後の共同会見で、ポーランドとドイツが34年に結んだ秘密協定の存在や、
英仏が38年にチェコスロバキアの一部併合を巡りナチスへ譲歩した点を取り上げ、
独ソの協力だけが開戦の原因でないと主張した。
ポーランドはソ連が開戦直後に自国東部を占領し、2万人以上の国民を虐殺した「カチンの森事件」などを巡り、
ソ連の責任を指摘している。トゥスク首相は同日の会見で「両国の大戦に関する歴史観は、
独露間と比べ大きな相違がある」と批判をにじませた。
バルト3国併合(40年)などソ連の行動を批判する旧共産圏の動きに対して、ロシアは先月28日に
「歴史捏造(ねつぞう)対策委員会」の初会合を開くなど、「ソ連批判」への対抗策に力を入れている。
プーチン首相が1日にグダニスクでの記念式典に出席したことについても、
「第二次大戦の結果を見直す動きに対抗するため」(ウシャコフ官房副長官)だという。
ロシアは大戦中の「侵略行為」を認めれば、獲得した領土の正当性が損なわれる事態を懸念している模様だ。
http://mainichi.jp/select/world/news/20090902ddm007030031000c.html