坂本龍一 「MP3は320kbpsくらいあれば聴ける、128kbpsは音質的に非常に不満」

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118 ヒイラギナンテン(埼玉県)
■デジタル音楽時代になって考えさせられた「音楽の価値」
ー いま音楽は、再び「ライブ」へ

「従来の音楽ビジネスは世界的に下降線を辿っていますが、音楽の消費や需要は増えています。
けれど、音楽はどんどんタダ化が進んで、プライスがゼロに近づいてきています。

メディアという点から見ても、この100年くらいでコンテンツはどんどんゼロに近づいているんです。
例えば『第九』。最初のSPは10数枚組くらいかな、もっとかな。ところがCDだと1枚に収められる。
それで今度は音楽配信になると、メディアレスのデータのみになる。どんどん小さくなって、見えなくなる。

それで、10数枚組のレコードとデータを比べて『第九の本当の値段って、いくらなの?』って言ったとき、
誰も答えられないでしょう?つまり、これまで音楽を買っているつもりで払っていた値段が、
実は製造や運搬というパッケージのコストだったことが、インターネットの登場で露わになったんですね」

− メディアのかたちが小さくなっていくについて、リスナーにとっての音楽の価値や
存在感も小さくなってしまっているのではないでしょうか、と問いかけると、
坂本氏は「そういう面もあるかも知れません」とうなずく。