最大の国産ロケット「H2B」デビュー間近
史上最大の国産ロケット「H2B」が、間もなくデビューする。
食料や日用品、実験機器などを国際宇宙ステーション(ISS)に届ける無人宇宙船「HTV」を宇宙へ運ぶ。国際的に重要な
役割を無事に果たせるか。9月11日午前2時4分、種子島宇宙センター(鹿児島県)からの打ち上げが注目される。
H2Bは、現在の主力ロケット「H2A」の技術を活用し、宇宙航空研究開発機構と三菱重工業が開発した。第2段エンジンと
固体補助ロケットはH2Aと同じだが、第1段エンジンはH2Aのものを2基並べた。高度3万6000キロの静止軌道に投入できる
衛星の重量は、H2Aの5・8トンから、H2Bは8トンへと増えた。打ち上げ能力だけでなく、56メートルの全長、積み荷を除いて
530トンの重さも、日本のロケットで最大だ。
新型ロケットの初号機打ち上げは、重要な衛星などを積まない試験飛行となる場合が多い。ところが、H2B初号機は、
いきなりISSへの物資を満載したHTVを搭載する。
ISSは日本実験棟「きぼう」が完成し、いよいよ本格運用の段階。滞在する飛行士の数も今年、3人から6人に増えた。
HTVによる補給が失敗すれば、ISSは食料不足に陥りかねない。それほどの重責を任せるのは、H2Bの信頼性に自信が
あるからだ。
開発で工夫したのは、2基のエンジンの微妙な燃焼パターンの違いがお互いに悪影響を及ぼし合わないよう、燃料供給
ラインを別々にしたこと。「2基のエンジンを並べた燃焼試験は、あっけないほどうまくいき、問題点が生じなかった。ロケット
開発では極めて珍しい」(宇宙機構の中村富久・H2Bプロジェクトマネージャ)という。
http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20090831-OYT1T01065.htm