哺乳(ほにゅう)類の受精卵が育つには一定の重力が必要なことが、
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の若山照彦チームリーダーと
広島大の弓削類(ゆげるい)教授らの共同研究でわかった。
宇宙ステーションや重力の弱い月、火星では子どもができにくい可能性があり、
未来の宇宙移住構想に影響しそうだ。25日付の電子版の米科学誌に発表された。
研究チームは、弓削教授らが開発した装置「3Dクリノスタット」で、ほぼ無重力の状態を地上で再現。
マウスの体外受精を試みた。
卵子が受精する確率や、受精から24時間後に細胞が二つに分かれる確率は通常と同程度だったが、
さらに無重力が続くと、子宮に着床する前の胚盤胞(はいばんほう)まで育った割合は30%で、
通常(57%)の半分に落ちた。
その胚盤胞を子宮に移植して出産に至ったのは16%で、通常(38%)より低かった。
結局、子どもの生まれる割合は、地上の重力の場合の4分の1にとどまった。生まれた子は正常だった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090825-OYT1T00768.htm