【四国新聞】 8/13 「夜空の名画」 花火

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1 シバザクラ・フロッグストラモンティ(香川県)

8月13日付・夜空の名画

2009/08/13 09:24

素人が違いを見極めるには、あまりに鑑賞時間が短すぎる。
それでも各作品には作り手の個性が表れており、見る人が見れば、誰が作ったか、誰の弟子かということまで分かる場合もあるのだという。
打ち上げ花火のことだ。

花火シーズンたけなわである。夜空のキャンバスに多彩な色で菊や牡丹(ぼたん)、しだれ柳などが描かれた時、観客は心を奪われる。
空気を揺らす爆発音に心を震わせる。花火が開く瞬間は、花火師たちにとって苦労が報われる瞬間に違いない。

しかし同時に、少々酷な瞬間でもある。どんなに手間暇掛けたすばらしい作品でも、ほんの数秒で消えてなくなる。
それでいて作り手が注目されることもまずない。画家のように作品の隅にサインを残すこともできない。

形も名前も残らない。人によってはむなしささえ感じるであろう世界で、なぜ花火師たちは情熱を燃やせるのだろう。
花火師の小勝郷右さんは著書「花火師一代」(柏書房)で、花火の魅力に取りつかれたからだと説明する。

歴史の陰には、そんな人が何人もいた。彼らの手で少しずつ磨かれ、日本の花火は発展してきた。
花火が上がるたびに小さな星がきらめくが、
その一つ一つが「これまで歴史の陰に消えていった名人花火師たちのサインのようなものなのだ」。

今夜は高松まつりの花火大会「どんどん高松」。嫌なことはしばし忘れて、夜空の名画を楽しもう。
名人たちのサインがきらめく大輪の花を、思い出のキャンバスにスケッチしよう。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20090813000123
2 カラタネオガタマ(北海道)
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