長門市日置中の草添焼の「たぬき庵」(庵主、盛川光剛さん)が、ロクロや絵付けの筆などを使わない
「練り込み」技法で野イチゴ模様を皿や食器に取り入れた焼き物などで女性ファンを中心に人気を呼んでいる。
練り込み技法は、中国・宋の時代の技法。「金太郎あめ」や「巻きずし」に似ている。
白い陶土に着色した土を組み合わせて花ビラ様に並べて周囲を締め込む。
一定の厚さに切って皿や器などの型に押し当て形を整えて焼く。
透明釉薬(ゆうやく)を使い、完成すると表も裏も同じ模様が浮かび絵画的に表現できる。
盛川さん(59)は元法務省の役人。20代後半から、転勤のたびに酒器のとっくりやぐい飲みを集め始めた。
52歳の東京勤務になった時に「自分で作ったらおもしろいのでは」と、陶芸教室に2年間通い基礎を勉強。
その後の転勤先でも陶芸を続けていた。
宮崎県勤務の時「練り込み」技法を使った作品を初めて見て感激。
早速、陶芸家を訪ねて弟子入りした。盛川さんは「手間がかかり、この技法で作るのは全国でも数十人しかいない」という。
たぬき庵を開いて10年目。定年直前に山里の農家の廃屋を改装して焼き物の窯元を作った。
「草添焼」は地元の山の名から取った。年間10回ほど窯入れ、1000点を焼く。
大小皿や花入れ、抹茶茶わん、コーヒーカップなど、花ビラや模様を取り入れている。
海に落ちる夕日を表現したり、大皿に乙女の姿や竜、駿馬(しゅんめ)などを表現。
広島市などで5回の個展を開いている。
家族は広島市に残して第二の人生を陶芸にかけており、盛川さんは「年々おもしろくなってきている。
いいものを作りたい」と喜びを話した。問い合わせはたぬき庵(0837・37・2687)。
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20090813ddlk35040235000c.html