’09夏・衆院選ながの:国政の課題・現場から/5止 公共交通 /長野
◇リニア計画、期待と疑問−−路線バス、在来線は再考迫られ
「地域のエゴだ」
「差額は諏訪市が払え」
リニア中央新幹線計画をめぐり、JR東海は6月18日、諏訪・伊那を通るBルートの工事費が、南アルプスを貫くCルートより6400億円高いとする試算を公表した。
Bルートを熱望する山田勝文・諏訪市長は「(BとCの)差額は当初言われたほど大きくない」と反論。しかしこの発言が報じられた直後、全国から批判の電子メールが市に殺到した。
市は7月、ホームページに「諏訪広域連合の見解」を掲載。地元が二十数年にわたりBルートを願ってきた経緯や地方を含めた国土の均衡ある発展の必要性を挙げ、理解を求めている。
JR主導で進む議論に、山田市長は6月下旬の会見で「リニアは、1企業が私的に造るのとは違う」と語気を強めた。
リニア新幹線はそもそも、全国新幹線鉄道整備法に基づく国家プロジェクトだ。しかしJR東海が自己負担で建設する意向を表明して以降、同社の動向ばかりに目が注がれる。
「最終的には国が決めるはず」。諏訪・上伊那の行政や経済界は戸惑いを抱えつつ、国の関与に望みをつなぐ。
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飯田市で3月、「リニア開通はバラ色ではない」という刺激的なテーマの勉強会があった。若手経営者らの団体「南信州アルプスフォーラム」が呼びかけ、約50人が参加した。
「自動的に繁栄が約束されるというのは幻想だ」。日本政策投資銀行の藻谷浩介参事は、JR越後湯沢駅など、
新幹線開通が乱開発や人口減につながった例を引き合いに出し、高速鉄道網の負の側面を指摘した。
飯田下伊那地域では県などが推すBルートより、JR東海の進めるCルートを後押しする声が多い。そこには「Cルートなら新駅は飯田」との思惑も透ける。
だが同フォーラムの中島一夫さんは「駅ができれば大都市の強い影響で地域の独自性が失われ、どこにでもある地方都市に堕してしまう」と大規模インフラ依存に疑問を投げかけた。
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20090808ddlk20010038000c.html