【from Editor】皆既日食と科学の窓 (1/2ページ)
鹿児島県のトカラ列島などで皆既日食が起きた7月22日は、あいにくの天候となってしまった。
月が太陽を完全に覆い隠していく様子を観測できたのは硫黄島(東京都)周辺に限られたが、太陽と月、
地球の関係や太陽のコロナに関心を持った人は多いはずだ。
数年前、日本天文学会の取材でこんな話を聞いた。
「月は8個あるんですよね」
研究者に真顔で質問したのは、学校の先生だという。
月の満ち欠けの説明で、地球の周囲に8つの月を描いたイラストがよく使われる。
それを見て「月は8個」と思い込んだまま大人になり、教員資格を得て教壇に立っている−ということのようだ。
勘違いはだれにでもあることだが、これほど大胆なのは珍しい。
教師になるまで間違いに気付く機会がなかったことに、愕然(がくぜん)とさせられる。
高校で地学を履修する生徒は、物理、化学、生物に比べて少ないという。
「基礎理科」や「理科総合」という古い世代には耳慣れない必修教科に地学の基礎は盛り込まれているようだが、
選択制のもとで地学教育が脆弱(ぜいじゃく)化していることは間違いないだろう。
高校の地学は、天文学や地震、火山、地球環境の基礎を学ぶ教科だ。
「若い研究員を獲得するのが難しくなった」という地震研究者の声もよく耳にする。
天文学も地震学も、日本の研究レベルは世界のトップクラスに位置しているが、教育の貧困が将来に暗い影を落としている。
以下略
http://sankei.jp.msn.com/science/science/090803/scn0908030740002-n1.htm