映画「崖の上のポニョ」の全米公開を控え、宮崎駿監督がカリフォルニア州を訪れ、各種イベントに参加した。
監督は日本でも公の場にほとんど姿を見せないが、今回は本作にまつわる秘話やアニメにかける意気込みなどを次々と披露し、米国の宮崎ファンをうならせた。(ロサンゼルス 飯田達人、写真も)
「ポニョ」は8月14日からウォルト・ディズニー社の配給で、スタジオジブリ作品としては過去最大の約800館で公開される。
英語版の吹き替えはマット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ティナ・フェイら大物俳優が務めた。興行面でのディズニー側の期待の大きさがうかがえる。
ロサンゼルスの劇場での試写会前、監督は
「紙切れの上に、コスト、収入、賞など、数字ばかり現れて鳥もちにくっついたようになっている。紙に穴を開けて、子供たちと心を通わせたい」
と語り、売り上げ至上主義を強く批判。
「(映画の価値は)公開した瞬間に分かるわけではなく、何年もたってから、突然プレゼントとして現れるものです」と続けた。
カリフォルニア大バークレー校内のホールで25日に行われた講演では、
「おばあちゃんが孫に対し『これ、面白いから見てごらん』と言えるような映画が作れたら最高ですね」。
司会者らの質問に応じて「ポニョ」についても語った。父親のフジモトはジブリで働くアニメーターがモデル。
母親のリサには「母親になる人に、こういう強い女性になってほしい」との思いを込めたという。
映画作りは年々困難になり、「毎回、ようやく切り抜けている状況」。
構想を練る際は「考えるしかないが、意識した部分で作るとつまらない。意識の下の無意識のさらに下の深いものを探るには、鼻の奥の血のにおいを相当かがないといけない」
と、独特の表現で新作への意気込みを語った。
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