【ベルリン=弓削雅人】
世界初の両腕移植手術を受けたドイツ人男性(55)が二十二日、同国南部メミンゲンの
病院で記者会見した。左手の指が少しずつ動くようになり、補助器具を使った食事や
自転車乗りまで可能になった男性は「この手で再び物がつかめる日を心待ちにしている」と
回復の喜びを語った。
男性はカール・メルクさんで、七年前、農作業中にトウモロコシ脱穀機に巻き込まれ
肩から下の両腕を失った。昨年七月、ミュンヘン工科大病院で、事故死した十代の男性の
両腕を移植する十五時間の手術を受けた。
メルクさんは会見で上腕部を振ったり、頭をかいたりする姿を披露。妻と二人の娘も驚く
ほどの回復ぶりで、「最大の夢は、助けを借りずに自力で自由に生活できるようになること」と語った。
主治医は「完全回復に二年はかかるとみていたが、予想を大きく超える速さだ」と話している。
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