前作「ゆれる」で脚光を浴びた34歳の西川美和監督は、台頭が目立つ女性監督のなかでもピカイチの存在。
人間の多面性や心理の奥底を描き出す期待の本格派だ。
オリジナル脚本にこだわる西川の長編第3作は、医師の失踪事件を通して、本物とニセモノが混在する現代の世相に鋭いメスを入れている。
緑豊かな山間の村から、診療所の医師だった伊野(笑福亭鶴瓶)が失踪した。
県警から派遣された刑事が捜査すると、伊野の不可解な行動が浮かび上がる。
しかし村人が本当に必要としたのは、資格のある医師よりも心のケアをしてくれたニセ医師の伊野だったのではないか。
正体不明の中年男と、彼を取り巻く虚々実々の人間模様がおもしろい。
映画初主演の鶴瓶は、村人に尊敬される好人物だが、どこか怪しげなキャラにピタリとハマっている。
無邪気な研修医の瑛太、根性のすわった看護師の余貴美子、営業マンの香川照之、可憐な未亡人の八千草薫などが適材適所の役どころを好演。
本物とニセモノの境界線や医療問題について、いろいろな見方のできる佳作に仕上がった。
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